【9月23日 AFP】9月6日のイスラエル軍によるシリアの秘密軍事施設への空爆直前に、イスラエル特殊部隊が潜入し、核物質を奪取していたと、23日付けの英週刊紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)が伝えた。

 シリア北部Dayr az-Zwarの軍事施設からイスラエル軍特殊部隊が奪った核物質は、イスラエルに持ち帰られ分析された結果、北朝鮮で作られたものだったと、同紙は信頼できる情報筋の話として報じている。

 米国およびイスラエルの政府関係者の発言によると、イスラエル軍は同施設を数か月間調査していたという。特殊部隊による作戦が実行された日付については触れていない。

 同紙は匿名の米高官の話として、米政府はイスラエル軍によるシリア空爆の承認に先立ち、シリアによる核開発あるいは関連した活動の証拠を求めていたとしている。

 特殊部隊・Sayeret Matkalの作戦は、エフド・バラク(Ehud Barak)国防相が直接指示を出して行われたという。

 同紙は、バラク国防相は6月の就任以来、シリアのこの軍事施設について非常に強い関心を示していたと伝えている。

 米政府は21日、イスラエル軍による空爆はシリアへの核開発協力が引き金となったのではとの疑問に答えようとしない北朝鮮を「注視」していると発表している。

 疑惑が真実であった場合、不人気のイラク戦争で求心力を失ったジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領が成功と賞賛する対北朝鮮外交に暗雲を投げかけることになる。

 北朝鮮政府はこれまで、シリアへの核開発協力の事実を感情あらわに否定してきた。また一部メディアもイスラエル軍による空爆は厳しい財政事情の北朝鮮からシリアへ輸出されたミサイルを標的にしたとの見方を示している。

 ダナ・ペリノ(Dana Perino)報道官は、イスラエル軍がシリアの核施設を空爆したのではとの報道に対しコメントを拒否したが、米政府の対北朝鮮外交が弱腰であることを示しているのではとの問いには即座にこれを否定した。(c)AFP