【9月21日 AFP】国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)は20日、ウィーン(Vienna)で開かれている年次総会で、中東地域の非核化を求める法的拘束力のない決議を採択した。

 ただ、イスラエルと米国の2か国が反対、アイルランドを除く欧州連合(EU)加盟国など47か国が棄権。全会一致での採択が得られなかったことから、効力に疑問が残る結果となった。

 決議は、中東地域のすべての国に対して、「非核地帯(nuclear weapons-free-zoneNWFZ)が創設されるまで、核兵器の開発、製造、実験をせず、核兵器を持たず、持ち込ませない」よう求めるとともに、核保有国・否保有国を問わず世界中の国に、中東非核地帯の創設に向けた支援を呼びかける内容となっている。

 IAEAの決議は全会一致で採択されるのが通例だが、今回はイスラエルやイランをめぐって意見が割れた。

 アラブ諸国は、イスラエルが核兵器を保持しており、中東の平和と安定を脅かしていると主張。イランは採決の結果について、核拡散防止条約(Non-Proliferation TreatyNPT)に未加盟のイスラエルは査察を免除されているように見受けられ、「より広範な査察によって全面的な保証措置を求める一部加盟国の見解を疑問視するもの」だと激しく非難した。

 これに対し、欧米諸国や非同盟諸国の一部は、イランが自国の核開発計画から目を逸らすため、イスラエルをめぐる対立の背後で画策していると指摘。ある欧米の代表は、採決を棄権する国が世界各地で相次いだのは、国際社会がこの問題で見解の一致をみていることの反映だとの見方を示した。

 EU加盟国で唯一賛成したアイルランド代表は、「わが国は中東非核地帯の創設を支持している。賛成票を投じるのはまったく簡単なことだ」と述べている。

 イスラエルは、中東和平合意の枠内で、非核地帯の創設を支持している。(c)AFP/ Michael Adler