【9月16日 AFP】国連(UN)の平和維持活動(PKO)で10月からスーダン西部の紛争地帯ダルフール(Darfur)地方に派遣される中国人民解放軍の工兵部隊が訓練を行う中部河南(Henan)省の訓練施設が15日、外国人記者団に公開された。
 
 315人の同部隊を率いるLiu Jinzhao中尉は「中国がダルフールの状況を悪化させていると非難するのは偏見を持っている人々だ。そのような考えが間違っていることを証明したい」と述べた。

 工兵部隊はスーダンで橋や道路の建設や井戸掘りなどを行う。

 訓練は注意深く演出されており、明らかに「中国は悪者ではない」とのメッセージが発せられていた。

 スーダン政府は、ダルフール地方で虐殺行為を行う民兵組織を支持しているとして非難されている。国連によると、民兵組織により、過去4年で20万人以上が虐殺されたという。

 スーダンにとって最大の石油輸出先である中国は、スーダン政府を国際的活動から保護しているとして非難されており、ダルフールをめぐる状況が2008年の北京五輪に悪い影響を与えると警告する外国人活動家の中もいる。

 中国政府は1990年以降、8000人を超える部隊をこのような活動に派遣しており、現在は世界各地の紛争地域に1400人以上の部隊を派遣しているという。

 香港科技大学(Hong Kong University of Science and Technology)のDavid Zweig教授(外交政策)は、これは、中国がダルフールをめぐる「政治的な風」を読もうとしていることと合わせて、「中国にとっても世界にとってもよいことだ」と指摘する。

 ただ、「中国政府はスーダン政府に対する姿勢を変更したが、あくまでも同国からの原油供給に影響がない範囲でのことだ。強硬に出過ぎると、スーダン政府からそっぽを向かれることを分かっている」と付け加えた。(c)AFP/Dan Martin