【9月10日 AFP】イラク情勢をめぐるデビッド・ペトレアス(David Petraeus)イラク駐留多国籍軍司令官とライアン・クロッカー(Ryan Crocker)駐イラク米大使の議会証言を翌日に控えた9日、共和党員らは、「ペトレアス司令官を攻撃するための新たなPR戦略に躍起になっている」として民主党を非難した。

 2人は、15日を期限にジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領が議会に提出する「イラク情勢最終報告」を補完するため、10、11の両日、議会証言を行う。

 ペトレアス司令官は、ブッシュ大統領が1月に発表した2万8500人の米軍増派計画によりイラク国内の宗派間抗争は減少しており、増派するべきだとの証言をするものとみられる。一方で、2008年初頭からの16万8000人強の段階的兵力削減計画には異議を唱えない見込みだが、「米兵3700人以上とイラク国民数万人の命を奪い、5000億ドル(約56兆5500億円)を費やしているイラク戦争からの早期完全撤退」を求める民主党が納得する可能性は極めて低い。

 2008年大統領選に立候補している民主党のジョー・バイデン(Joe Biden)上院議員はNBCテレビで、「ペトレアス司令官を心から尊敬しているが、(増派を続けるべきだという)考えは完全な誤りだ」と語った。

 また、民主党のジョン・ケリー(John Kerry)上院議員はABCテレビで、1967年に上下両院でベトナム戦争について証言したウェストモーランド(William Westmoreland)将軍に触れ、イラク政策への固執は「ベトナム戦争でわれわれが窮地に陥ったときと同じ発想だ」と語り、さらに、イラク戦争を「破滅的」と評した。

 一方、イラク政府の報道官は「テロリストの復活を阻止する」ためにもイラク駐留米軍の支援は必要だとして、同軍撤退への反対を表明している。

 米国では前週、イラク政府と治安部隊は「機能不全」に陥っているとする報告が発表された。また、米国のInstitute of Peaceは9日、イラク駐留米軍を3年以内に半減し、5年以内に完全撤退させるべきとの見解を示した。

 リベラル派のグループ「MoveOn.org」は、10日付けニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙に「ペトレアス司令官は裏切り者--ホワイトハウスのために帳簿を操作(General Petraeus or General Betray Us -- Cooking the Books for the White House)」と題する全面広告を掲載する予定だ。(c)AFP/Stephen Collinson