【9月10日 AFP】駐イラク米軍司令官らが週明けに米議会で部隊増派の進捗(しんちょく)状況について議会で証言するのを前に、米国のInstitute of Peaceは9日、駐イラク米軍を3年以内に半減させ、5年以内に完全撤退させるべきとする報告書を発表した。

 報告書は「米国は世界中で数々の難問に直面しており、イラクの現在の駐留規模を維持することは困難だ」としている。また、国内安定化に向けたイラク政府の取り組みは極めて不十分とした上で、「米軍の撤退見通しを示すことで、イラクやその近隣諸国に、責任感への自覚を促すことができる」としている。

 また、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領が1月に発表した2万8500人の米軍増派計画について、「国内の一部、特にバグダッド(Baghdad)で、前年に比べ治安が悪化した」としている。

 一方で、デービッド・ペトレアス(David Petraeus)駐イラク米軍司令官は米議会で今週、増派により宗派間抗争の抑制に効果が見られ、増派を続けるべきだとの証言をするものとみられる。なお、2008年初頭からの16万8000人強の段階的兵力削減計画には異議を唱えない見込みだ。

 米議会の付属機関、政府監査院(Government Accountability OfficeGAO)は4日、イラク情勢に関する報告書を議会に提出し、その中で政治・軍事上の18の項目のうち、宗派間抗争の抑制など11項目は「未達成」との報告書を発表。また、退役将校らは前週、イラク軍への戦闘職務の引き継ぎにはあと1年から1年半要すると指摘している。

 Institute of Peace所属の専門家も参加した超党派諮問機関「イラク研究グループ(Iraq Study GroupISG)」は前年12月、戦闘よりもシリアやイランへの協力要請やイラク軍の訓練などを優先させるべきとの報告を発表している。

 今回の報告書は、「イラクを国際テロリストらの温床にしない」、「米軍の信頼性を取り戻す」、「地域の安定化を図る」、「イランの影響力を抑制する」、「イラクの独立国家としての地位を維持する」の5項目を要求している。(c)AFP/Jitendra Joshi