【9月6日 AFP】オーストラリアのシドニー(Sydney)で開かれているアジア太平洋経済協力会議(Asia Pacific Economic CooperationAPEC)で今週末の首脳会議を控えた6日、中国の胡錦濤(Hu Jintao)国家主席はジョン・ハワード(John Howard)豪首相と会談した。同日午後にはジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領との会談も予定している。

 APEC首脳会議では中心的議題として通商問題および地球温暖化問題が挙がっており、中国の出方に注目が集まっている。

 ハワード首相と会談後の共同会見で胡主席は、今週末の首脳会議での採択が予定されている地球温暖化問題の共同声明をめぐる調整が難航していることを示唆した。豪政府は今回の会議で地球温暖化問題を焦点の一つにしている。

■中豪安全保障閣僚会議の定期開催

 また両国は、安全保障に関する閣僚級会議を年に1回、定期的に開催していくことで合意したと発表した。APEC域内外交からの孤立を恐れる中国の懸念を払しょくする動きといえる。

 胡主席はこの合意について「平和と発展にかかわる主な域内問題および国際問題において、対話と協力を強化するもの」と歓迎した。開始時期などの詳細については言及されなかった。

 一方ハワード首相はこの合意により、豪州と日米の3か国による安全保障協力体制が、経済的・軍事的に成長する中国に対抗するものではないことが証明されると述べた。

 両者はさらに犯罪容疑者や受刑者の身柄引き渡し、エネルギー政策に関する合意など複数の協定に調印した。

■中国、温暖化防止対策でけん制

 地球温暖化問題では、温暖化ガスの排出量削減を目指す取り組みの強化に関し、豪州や米国など経済先進国が圧力を強める一方、中国を始めとする新興経済国が抵抗を示している。

 胡主席は、中国もAPEC首脳会議が掲げる温暖化抑制の取り組みを支持する立場だとしながらも、温暖化問題における国際的合意の流れの中心は国連(United NationsUN)であるべきだとけん制した。さらに首脳会議においていかなる宣言を採択する場合にも、工業先進国と新興工業国の責任には差があるという認識と、それを十分に踏まえた表現が必要だと述べた。

 中国は温暖化ガス排出で上位に位置するが、大幅な排出量削減は、同国が進める経済発展を通じた貧困対策を妨げると主張している。

 胡主席は同日午後、ブッシュ米大統領と対談を行う。相次ぐリコール問題などで安全性が問われる中国製製品や農作物などについて、懸念する米国側に対し中国側の反論が予測される。

 ハワード首相は首脳会議開幕直前の8日朝、ブッシュ米大統領、安倍晋三(Shinzo Abe)首相と朝食を共にしながら会談する予定だ。(c)Kevin McElderry