【9月6日 AFP】シドニー(Sydney)で開かれているアジア太平洋経済協力会議(Asia Pacific Economic CooperationAPEC)で、日本をはじめとする各国は4日、米国が前年に提唱したAPEC域内の自由貿易圏(Free Trade Area for the Asia PacificFTAAP)構想について消極的な見解を示した。

 坂場三男(Mitsuo Sakaba)外務報道官によると、前年のハノイ(Hanoi)APECで米国が提唱して以来、この問題がAPEC閣僚会議で議論されるのは初めてだという。

 閣僚会議に出席した日本の複数の閣僚は、アジア・太平洋地域での競争力や能力開発、構造改革などの点で「なお一層の検討が必要だ」と述べ、APECが本格的な全体交渉に入る前に、各分野ごとに検討を重ねていくことの重要さを強調した。

 フィリピンのEdsel Custodio外務事務次官は、他のAPEC参加者は米国がFTAAPを提唱する場合は、これを「長期的なプロセス」と理解し早急に交渉すべき問題とはとらえてないとの見解を示した。

 中国もFTAAP交渉の行程表作成を提案するような声明の表現に関して反対したと、会議に参加したフィリピンの貿易当局者が明らかにした。

 インドネシアのマリ・パンゲストゥ(Mari Pangestu)貿易相はAFPに対して、インドネシア政府は、長期的展望として、FTAAPの実現に向けて協力していくことを明らかにしたが、APEC諸国は経済発展の度合いが異なっていることから、世界貿易機関(World Trade OrganisationWTO)新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド、Doha Round)同様、FTAAP交渉も停滞するだろうとの見解を示した。

 首脳会議に提出される閣僚会議の声明は、WTO交渉が行き詰まりを見せる中、FTAAPに関する予備的な検討を勧める内容になると見られるが、坂場外務報道官によると、オーストラリアのウォレン・トラス(Warren Truss)貿易相は、閣僚会議声明案を各閣僚のコメントを組み込んだものに練り直すため、6日の閣僚会議で再検討することを求めたという。(c)AFP