【9月4日 AFP】世界銀行(World Bank)は3日、アジア太平洋経済協力会議(Asia-Pacific Economic CooperationAPEC)加盟21か国の貿易におけるわいろや非公式の関税障壁による損失額は、1480億ドル(約17兆1500億円)以上にのぼるとする報告書を発表した。この数字は、APEC域内の2004年度貿易額の7.5%にあたるという。

 今週末にシドニー(Sydney)で開催されるAPEC首脳会議にあわせて発表された報告書は、APEC域内貿易の透明性を高めるために、各企業は透明で予測可能な貿易規定を策定するべきだとしている。

 APEC域内は、世界の国内総生産の56%、世界の貿易額の約半分を占めるという強大な経済圏を形成しているだけに、こうした報告書の指摘は重要視される。

 報告書は、APEC域内は関税などの貿易障壁を削減しつつあると評価する一方、「非公式の関税障壁」や便宜を図ってもらうために企業が税関職員に支払う「わいろ」は、ビジネスコストを押し上げていると指摘。それらを排除するための一層の努力を求めている。

 同時に「多くの国で、モノやサービスの流れは複雑な関税規則、税関のハイテク化の遅れ、輸送手段の欠如などにより阻害されている」と指摘している。

 この報告書を受け、オーストラリアのウォレン・トラス(Warren Truss)貿易相は、「APEC加盟各国は、市場開放や投資の活性化を目指すにあたり、やるべきことがまだある」と語った。

 オーストラリア政府も、APEC首脳会議に合わせて、キャンベラ(Canberra)の国際経済センターが作成した報告書を発表。APECの低所得国ほど直接投資規制が厳しいとし、「対外直接投資規制を撤廃すると、投資が促進されてAPEC域内の途上国の経済が活性化し、貧困の解消につながる」と提言。また、そうした低所得国における所有権保護法や競争法などの不備も指摘している。(c)AFP/Neil Sands