【8月27日 AFP】ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領は27日、各国駐在の仏大使を集めた会議で就任後初の外交方針演説を行った。サルコジ大統領は演説で、イランの核開発や中東和平、駐イラク各国軍部隊の撤退、トルコの欧州連合(EU)加盟など欧州をめぐる問題や対米関係について、自らの外交政策を明らかにした。

 サルコジ大統領は自身を「イスラエルの友人」と呼ぶなど、前任者のジャック・シラク(Jacques Chirac)前大統領よりも米国寄りとみられているが、アラブ諸国に対する友情と尊敬の念も持っていると述べた。

 国際的懸案となっているイランの核開発問題については、フランスは断固として核兵器開発を許さないと強調しつつ、イラン側が計画を撤回すれば援助を提供する可能性もあると語った。「核武装したイランは容認できない。逆に欧州各国や米国、中国、ロシアなどとの交渉にイランが真剣に取り組めば、得るものが大きいということをイランに確信させるための努力は惜しまない」と語った。

 中東和平については、パレスチナ自治区のうちガザ地区(Gaza Strip)を6月以降、イスラム原理主義組織ハマス(Hamas)が支配している状況を受け、「自治区内に『ハマス国家』が作られることをフランスは許さない。こうした結果を放置するわけにはいかない」との考えを示した。

 また米軍主導でイラクに駐留する各国軍部隊について、明確な撤退日程が必要だと訴えた。「(イラク情勢改善について)政治的解決以外の解決策はない。外国部隊の撤退について明確な展望を定めるべきだ。イラク国内の当事者たちが各々の責任を負い、それに応じて自らを組織していくためには、撤退の決意が必要だ」と述べた。

 EUに関する政策についてはまず、トルコのEU加盟について反対する立場を再度強調した。トルコとの加盟交渉をフランスが妨害することはしないと述べながらも、EUの境界設定に関する加盟27か国による「真剣な熟考」なくして交渉を継続すべきでないと語った。サルコジ大統領は以前から「大半の国民がイスラム教徒である国は欧州の一部とは呼べない」として、トルコのEU加盟に反対してきた。

 EU全体については、同連合が目標としてきた「強い欧州」の台頭が、より効率的で公正、調和の取れた世界秩序の確立に貢献するだろうと述べ、国際社会における主要プレーヤーとしての存在感拡大を呼びかけた。また過去200年と同様、米仏の友好関係は今日も重要だとし、「同盟国であるということと、横並びに一列になることとは違う。自己満足やタブーを設けず、われわれが合意できる分野、できない分野を遠慮なく表明しあえると感じている」と、訪米によって距離感を縮めた成果に触れた。(c)AFP