【8月26日 AFP】ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は26日、中国と日本への公式訪問に向けて出発した。貿易関係の強化と地球規模での気候変動に対する取り組みでの協力体制の構築などが協議される。

 メルケル首相は29日まで中国に滞在し、胡錦濤(Hu Jintao)国家主席や温家宝(Wen Jiabao)首相と会談する。その後、同日来日し、安倍晋三(Shinzo Abe)首相と首脳会談を行うほか、天皇陛下と会見する。

 メルケル首相は欧州最大の経済大国の首相であると同時に、2007年には主要国(G8)首脳会議での議長も務めた。2008年のG8では日本が議長国を務める。

■財界代表団伴い訪中

 成長目覚ましい中国の経済は、現在世界3位のドイツを今年末までには追い越すとみられている。

 ドイツ政府当局者は記者団に対し、「中国経済はドイツが得意とする分野に次々と参入している」と指摘した。中国はアジア・太平洋地域でのドイツの最大貿易相手国である一方、ドイツの輸出のうち中国への輸出は3%にとどまっているという「ずれ」がある。

 メルケル首相はドイツの財界を代表する25人を伴い、貿易赤字を修正するための有利な協定を締結したい考えだ。

■温室効果ガス削減、人権問題も議論

 一方、温室効果ガスの排出削減に対する国際的な取り組みも、今回の日中歴訪での重要な要素だ。2012年に期限切れとなる京都議定書後の新たな枠組み交渉会議は12月、インドネシアで開催される。

 メルケル首相はスーダンのダルフール紛争、2008年の北京五輪開催を控えた報道の自由をはじめとする中国の人権問題などの難しい問題についても積極的に議論する構えだという。

■日本では常任理事国入りなどを協議

 日本では、メルケル首相は京都議定書合意から10年を記念し、同地で演説を行う予定。

 貿易拡大などを協議するためのインド訪問から帰国したばかりの安倍首相との会談では、国連安全保障理事会(UN Security Council)での常任理事国入りなどについても協議されるもようだ。

 メルケル首相はまた、大阪で開催中の第11回世界陸上大阪大会(11th IAAF World Championships in Athletics Osaka)にも姿を見せるとみられている。(c)AFP