【8月23日 AFP】ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は23日、ミズーリ(Missouri)州カンザスシティー(Kansas City)で行われた退役軍人団体の年次総会での演説で、米軍のイラク駐留を継続させる理由を述べる際、第2次世界大戦中の日本軍による真珠湾攻撃と国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)による米同時多発テロ事件を同一視する発言を行った。

 イラク情勢に関する報告書の提出期限まで1か月を切り、高まるイラク駐留米軍の撤退要求に対する回答を模索していたブッシュ大統領は、「米国が日本を敗戦国から民主主義国へと導いたのと同じ理想と国益により、アフガニスタンおよびイラクに引き続き関与するべきだ」との見解を示した。

 ブッシュ大統領は「われわれを攻撃した敵は、欧米諸国が自分たちの国民を侮辱したと感じて怒りを覚えている。敵は中東地域全体を支配下に置くつもりで戦っている」などと語った。

 さらに「敵は自爆攻撃へと戦略を変更し、米国民を疲れさせ戦いを止めさせるために大虐殺を行うようになるだろう」との見方を示した。

 その上でブッシュ大統領は「これはアルカイダのことでも同時多発テロのことでもなく、ウサマ・ビンラディン(Osama bin Laden)容疑者が作ろうとしていた宗教支配者による帝国のことでもない。1940年代の旧日本帝国と真珠湾への奇襲攻撃、および東アジアにおける植民地政策のことだ」とし、第2次世界大戦中の日本軍による真珠湾攻撃を引き合いに出した。

 ブッシュ大統領は第2次世界大戦と、今日の「テロとの戦い」の違いを認めながらも、「それらはすべてイデオロギー的な争い」だとし、「適切な人道的見地からすると、日本の軍国主義者や北朝鮮およびベトナムの共産主義者は非情な考え方に動機付けられていたといえる。かれらの考え方を強制する際に米国が邪魔だったため、米国人が殺されたのだ。名前や場所は異なるが、戦いの基本的性質は変わらない」などと発言した。

 イラクには現在、16万人規模の米軍が派遣されており、駐イラク米軍の死者はこれまでで3700人となっている。(c)AFP