イラン革命防衛隊、米政府のテロ組織指定を一蹴
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【8月16日 AFP】米政府がイランの軍事組織、イラン革命防衛隊(Revolutionary Guards)を指定テロ組織に加える動きが判明したことに対し、同革命防衛隊は16日、「同軍の『鉄の意志』がくじかれることはない」と一蹴(いっしゅう)した。
■米は「鉄の意志」理解できない
米高官筋は15日、イランの精鋭部隊である同防衛隊の海外資産凍結などを目的に、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領が同軍をテロ組織に指定する大統領令を用意していることを明かした。米国が主権国家の軍事組織をテロ組織に指定した例はこれまでにない。
これを受け、イラン革命防衛隊は16日、イラン国営通信(IRNA)を通じ「防衛隊の本分は、イランの制度と革命に対する敵を恐怖に陥れることだ。米国はこの神聖な組織に打撃を与えるという軽薄な政策を発表するための口実を見い出す必要に迫られたのだ」と米政府の動きを激しく非難する声明を発表した。
さらに、「物質主義に毒された者には、深遠な霊の力や革命防衛隊の鉄の意志を理解できない」と西側諸国への警告を発し、「歴史的勝利は、世界各地の異教徒らと対抗するイスラムの子たちと共にある」と付け加えた。
■国内に大きな影響力、現大統領も革命防衛隊出身
米政府は、イラン革命防衛隊が駐イラク米軍に対する攻撃などで使用される爆発物を供給するなどしてイラク国内の政情不安を煽っているとして、同防衛隊を名指しで批判してきた。同防衛隊をテロ組織に指定することで、防衛隊の資金的生命線を断ち切ることを意図しているとされる。
革命防衛隊は総兵力十万人以上を擁するイランの精鋭部隊。その影響力は軍事面のみならず同国の経済界や政界にも及んでおり、数十億ドルに及ぶ国内インフラ建設の受注などにも成功している。
2006年にはイラン南部サウスパルス(South Pars)にある国内最大のガス田に関するガスパイプライン建設(20億9000ドル相当)、さらにパキスタンへのパイプライン建設(13億ドル相当)などの受注に成功した。
防衛隊はイラン政界でも中心的存在を占める存在だ。イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領は同軍の出身で、2005年の就任以来、同政権の重要ポストには数人の防衛隊出身者が抜擢されている。
核開発計画を放棄しないイランに対し、米国は武力攻撃の可能性を何度か示唆してきた。しかし防衛隊は米国のそうした動きを激しくけん制。「イラン革命の宿敵が、ペルシャ湾(Persian Gulf)内でイラン国境に向けた軍事的挑発行動を行うならば、ペルシャ湾は地獄と化すだろう」とAli Razmjou革命防衛隊海軍司令官は警告する。
■米、公式見解なし
一方、前日のテロ組織指定の動きに関する報道後も、米政府からの公式な声明は出ていない。同国務省では「現在積極的に検討中であるすべての事柄について」計画に関する詳細を一切公開しないとしている。
しかし、米国内の反応は複雑だ。ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙は社説で米政府の動きを「要領が悪く計画不十分だ」と批判、「イランによる脅威は深刻で、アメリカに必要なことは芝居がかった言動ではなく、真剣な政策で対応することだ」と糾弾した。
米国務省の海外テロ組織指定リストには現在、テロリスト・ネットワークの国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)など42の組織が挙げられている。
イランは国家としては過去20年以上にわたり、米国の「指定テロ国家」とされてきた。米政府は、特にイラン革命防衛隊の特殊部隊「Quds Force」が、イラクのシーア派武装勢力やアフガニスタンのイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)への武器供与に関与しているとみている。
最近では、米軍がイラク北部でイラクの不安定化を使命としたQuds Forceのメンバーだとしてイラン人5人を拘束した。
これに対し、イラン側はイラクおよびアフガニスタン情勢への関与を徹底的に否定し、米軍の存在こそが情勢改善における最大の障害だと非難している。またイラクで拘束されたイラン人5人は単なる外交官だと主張している。(c)AFP/Stuart Williams
■米は「鉄の意志」理解できない
米高官筋は15日、イランの精鋭部隊である同防衛隊の海外資産凍結などを目的に、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領が同軍をテロ組織に指定する大統領令を用意していることを明かした。米国が主権国家の軍事組織をテロ組織に指定した例はこれまでにない。
これを受け、イラン革命防衛隊は16日、イラン国営通信(IRNA)を通じ「防衛隊の本分は、イランの制度と革命に対する敵を恐怖に陥れることだ。米国はこの神聖な組織に打撃を与えるという軽薄な政策を発表するための口実を見い出す必要に迫られたのだ」と米政府の動きを激しく非難する声明を発表した。
さらに、「物質主義に毒された者には、深遠な霊の力や革命防衛隊の鉄の意志を理解できない」と西側諸国への警告を発し、「歴史的勝利は、世界各地の異教徒らと対抗するイスラムの子たちと共にある」と付け加えた。
■国内に大きな影響力、現大統領も革命防衛隊出身
米政府は、イラン革命防衛隊が駐イラク米軍に対する攻撃などで使用される爆発物を供給するなどしてイラク国内の政情不安を煽っているとして、同防衛隊を名指しで批判してきた。同防衛隊をテロ組織に指定することで、防衛隊の資金的生命線を断ち切ることを意図しているとされる。
革命防衛隊は総兵力十万人以上を擁するイランの精鋭部隊。その影響力は軍事面のみならず同国の経済界や政界にも及んでおり、数十億ドルに及ぶ国内インフラ建設の受注などにも成功している。
2006年にはイラン南部サウスパルス(South Pars)にある国内最大のガス田に関するガスパイプライン建設(20億9000ドル相当)、さらにパキスタンへのパイプライン建設(13億ドル相当)などの受注に成功した。
防衛隊はイラン政界でも中心的存在を占める存在だ。イランのマフムード・アフマディネジャド(Mahmoud Ahmadinejad)大統領は同軍の出身で、2005年の就任以来、同政権の重要ポストには数人の防衛隊出身者が抜擢されている。
核開発計画を放棄しないイランに対し、米国は武力攻撃の可能性を何度か示唆してきた。しかし防衛隊は米国のそうした動きを激しくけん制。「イラン革命の宿敵が、ペルシャ湾(Persian Gulf)内でイラン国境に向けた軍事的挑発行動を行うならば、ペルシャ湾は地獄と化すだろう」とAli Razmjou革命防衛隊海軍司令官は警告する。
■米、公式見解なし
一方、前日のテロ組織指定の動きに関する報道後も、米政府からの公式な声明は出ていない。同国務省では「現在積極的に検討中であるすべての事柄について」計画に関する詳細を一切公開しないとしている。
しかし、米国内の反応は複雑だ。ニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙は社説で米政府の動きを「要領が悪く計画不十分だ」と批判、「イランによる脅威は深刻で、アメリカに必要なことは芝居がかった言動ではなく、真剣な政策で対応することだ」と糾弾した。
米国務省の海外テロ組織指定リストには現在、テロリスト・ネットワークの国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)など42の組織が挙げられている。
イランは国家としては過去20年以上にわたり、米国の「指定テロ国家」とされてきた。米政府は、特にイラン革命防衛隊の特殊部隊「Quds Force」が、イラクのシーア派武装勢力やアフガニスタンのイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)への武器供与に関与しているとみている。
最近では、米軍がイラク北部でイラクの不安定化を使命としたQuds Forceのメンバーだとしてイラン人5人を拘束した。
これに対し、イラン側はイラクおよびアフガニスタン情勢への関与を徹底的に否定し、米軍の存在こそが情勢改善における最大の障害だと非難している。またイラクで拘束されたイラン人5人は単なる外交官だと主張している。(c)AFP/Stuart Williams