インド独立60周年、シン首相が国民に団結と前進訴え
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【8月16日 AFP】インド独立から60年目を迎えた15日、マンモハン・シン(Manmohan Singh)首相は首都ニューデリー(New Delhi)で記念演説を行い、前進へ向けて国民の団結を訴えるとともに、同国が立ち向かうべき課題を示した。
首相演説は、ムガル王朝時代の17世紀に建てられたデリー城(レッドフォート、Red Fort)を会場に、厳戒警備の中で行われた。
シン首相はまず「10億人の多様な国民を擁するわが国で、世俗的民主主義が成功したことは偉大な達成だ」として、インドの民主主義を称賛した。
一方、年率9%の成長を続けるインド経済については過信を戒めた。また、貧困や栄養失調、失業、農業問題、暴動や宗教対立といった多数の国内問題を列挙。インドの夢を実現するために、今後少なくとも10年間は懸命な努力と持続的成長が必要だと強調した。その上で、社会分裂を修復し、目標の下に団結して協働するよう呼び掛けた。
国内農業の衰退については「農民生活の支援と食糧増産のため」60億ドル(約7000億円)を支出すると約束。雨期に依存するインドの農業分野の成長率は、経済全体に比べて4分の1以下と伸び悩んでいる。農業生産はインド経済全体の5分の1を占める一方、何らかの形で農業に携わる国民の割合は全人口の3分の2に上る。近年は、債務を抱えた農民らの自殺が数千人に達するなどの問題も発生している。
シン首相はそのほかに、教育や年金貯蓄型の健康保険、地方における地域開発などへの政府支出を公約。教育分野では全国に学校を約6000校新設する考えを示した。
「貧困撲滅は今や実現可能な目標だ」(シン首相)
カシミール(Kashmir)地方やアッサム(Assam)地方の反政府勢力に対しては「憎悪や過激思想に満ちている」と非難し、強力な対策の実施を約束。「反民主主義、反社会的な反国軍勢力」に対する国民の一貫した結束を訴えた。
カシミール地方の夏の州都、スリナガル(Srinagar)では、強硬派から穏健派までが分離独立を掲げる同盟を結成してストライキを主導、経済が麻痺するなど、カシミール問題は現在もインドの難題として残っている。カシミール地方の分離独立派や武装勢力は、インドからの英国撤退が結果的にパキスタンの分離独立を促し、さらにカシミール地方の分裂を招いたとして、インドの独立記念日を「暗黒の日」と呼んでいる。
シン首相は「近隣諸国の繁栄と安定は、インドの安全と進歩の重要な鍵だ」と述べ、平和や良好な外交関係を推進する姿勢を強調した。
国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)や分離独立派などが独立60周年記念日を狙うと脅迫したため、当日は陸軍、空軍および治安部隊が数万人規模で全国に展開し、厳戒態勢を敷いた。ニューデリー市内では、警官隊などの約7万人が政府庁舎や各国の外交機関、主要交差点などの警備に当たった。(c)AFP/Elizabeth Roche
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首相演説は、ムガル王朝時代の17世紀に建てられたデリー城(レッドフォート、Red Fort)を会場に、厳戒警備の中で行われた。
シン首相はまず「10億人の多様な国民を擁するわが国で、世俗的民主主義が成功したことは偉大な達成だ」として、インドの民主主義を称賛した。
一方、年率9%の成長を続けるインド経済については過信を戒めた。また、貧困や栄養失調、失業、農業問題、暴動や宗教対立といった多数の国内問題を列挙。インドの夢を実現するために、今後少なくとも10年間は懸命な努力と持続的成長が必要だと強調した。その上で、社会分裂を修復し、目標の下に団結して協働するよう呼び掛けた。
国内農業の衰退については「農民生活の支援と食糧増産のため」60億ドル(約7000億円)を支出すると約束。雨期に依存するインドの農業分野の成長率は、経済全体に比べて4分の1以下と伸び悩んでいる。農業生産はインド経済全体の5分の1を占める一方、何らかの形で農業に携わる国民の割合は全人口の3分の2に上る。近年は、債務を抱えた農民らの自殺が数千人に達するなどの問題も発生している。
シン首相はそのほかに、教育や年金貯蓄型の健康保険、地方における地域開発などへの政府支出を公約。教育分野では全国に学校を約6000校新設する考えを示した。
「貧困撲滅は今や実現可能な目標だ」(シン首相)
カシミール(Kashmir)地方やアッサム(Assam)地方の反政府勢力に対しては「憎悪や過激思想に満ちている」と非難し、強力な対策の実施を約束。「反民主主義、反社会的な反国軍勢力」に対する国民の一貫した結束を訴えた。
カシミール地方の夏の州都、スリナガル(Srinagar)では、強硬派から穏健派までが分離独立を掲げる同盟を結成してストライキを主導、経済が麻痺するなど、カシミール問題は現在もインドの難題として残っている。カシミール地方の分離独立派や武装勢力は、インドからの英国撤退が結果的にパキスタンの分離独立を促し、さらにカシミール地方の分裂を招いたとして、インドの独立記念日を「暗黒の日」と呼んでいる。
シン首相は「近隣諸国の繁栄と安定は、インドの安全と進歩の重要な鍵だ」と述べ、平和や良好な外交関係を推進する姿勢を強調した。
国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)や分離独立派などが独立60周年記念日を狙うと脅迫したため、当日は陸軍、空軍および治安部隊が数万人規模で全国に展開し、厳戒態勢を敷いた。ニューデリー市内では、警官隊などの約7万人が政府庁舎や各国の外交機関、主要交差点などの警備に当たった。(c)AFP/Elizabeth Roche
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