【8月9日 AFP】アフガニスタンとパキスタン両国の国境地帯の部族長や宗教指導者、両国高官ら約700人による部族長会議「ジルガ」が9日、アフガニスタンの首都カブール(Kabul)で開幕した。同地域の山岳地帯に潜伏するとされる国際テロ組織アルカイダ(Al-Qaeda)やイスラム原理主義組織タリバン(Taliban)の武装勢力対策を協議する。

■治安問題の解決を両国に呼びかける

 3日間にわたる会議の開会に際し出席者がイスラムの祈りを捧げたあと、ハミド・カルザイ(Hamid Karzai)大統領が開会演説を述べた。このなかで同大統領は「アフガニスタンとパキスタンが手を取り合って協力すれば、両国を圧迫する勢力を1日で撲滅することも可能だと確信している」と述べ、アルカイダなどの武装勢力による脅威に対抗する自信を示した。

 また、同地域の治安悪化の原因を両国が互いになすりつけ合う態度を諭し、「両国の未来と運命は共に絡み合うものだ」として、出席者らに解決策を共に探すべきだと訴えた。

 特に責任の所在について「アフガニスタン側の問題でも、パキスタン側の問題であっても、解決方法は共に見いだすべき」だと強調した。

 同地域ではアフガニスタンの旧政権タリバンが活動を再び活発化させているが、カルザイ大統領はタリバンへの対処もアフガニスタンだけの問題ではないと指摘。タリバン絡みの事件は「アフガニスタンの一員の仕業ではなく、アフガニスタン、さらにはイスラム全体の敵によるものだ」と強調した。

■タリバンの女性誘拐を非難

 またカルザイ大統領は、タリバンによる韓国人拉致事件を非難。特に女性を人質としていることについて、「アフガニスタンの歴史において女性の誘拐は前代未聞だ。歴史的不名誉だ」と述べ、同国の国際的地位を傷つけたと激しく批判した。7月19日にタリバンが拉致した韓国人のキリスト教ボランティア・グループ23人の中には女性16人が含まれている。男性人質5人のうち2人はすでにタリバンによって殺害された。

 演説を行うカルザイ大統領の横には、パキスタンのシャウカット・アジズ(Shaukat Aziz)首相の姿も見られた。

■厳戒態勢のなかジルガ開催

 会場となったカブール西部の大学構内には会議用の白い大テントが建てられ、厳戒警備が敷かれた。会議のために特別動員された警官約2500人や多数の兵士が配備され、北大西洋条約機構(NATO)が主導する国際治安支援部隊(International Security Assistance ForceISAF)の軍事車両が大学周囲の警備にあたった。また、市内を通行する車両に対しても、検問が行われている。(c)AFP