【8月2日 AFP】中東歴訪中のコンドリーザ・ライス(Condoleezza Rice)米国務長官は2日、最終訪問地であるパレスチナ自治区のヨルダン川西岸(West Bank)ラマラ(Ramallah)を訪れ、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長と会談し、停滞している中東和平交渉の再開へ向けて「基本的な問題」について話し合う用意があるとするイスラエル首相の言葉を伝えた。

 ライス長官は会談後、米がパレスチナ自治区に8000万ドル以上を支援することを盛り込んだ「安全保障援助のための枠組み合意」にサラム・ファイヤド(Salam Fayyad)自治政府首相とともに調印した。

 ライス長官の中東訪問は、6月中旬にパレスチナ自治区のガザ地区(Gaza Strip)をイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)が制圧して以来、初めて。今回の歴訪は、和平交渉の基盤を整える外交的推進力を構築するためで、最後にパレスチナ自治区を訪れた。

 アッバス議長との共同記者会見の席でライス長官は、エフド・オルメルト(Ehud Olmert)首相が「アッバス議長との新たな話し合いに前向きで、パレスチナ国家建設のための交渉に早い時期につながる基本的な問題について、協議する準備があると私に述べた」と語った。

 しかし、詳細を求められると同長官は「基本的、という言葉自体の示している通りだと思う。2国家共存という解決法に向かいたいという願いが双方にあると思う」と述べるにとどまった。

 また、ライス長官の発言からは、パレスチナ側が過去数か月にわたり要請してきた「核心議題」を協議する点に、オルメルト首相が同意したかどうかは定かではない。最大の難点となっているエルサレム(Jerusalem)の位置づけと境界線についての問題だ。

 イスラエル高官の話によると2日、ハイム・ラモン(Haim Ramon)無任所相はライス長官に「われわれはパレスチナ側と、最終的な位置づけ問題に関する枠組みについて合意しなければならない。それによって双方に明確な外交的、安全保障的展望が保証される」と語ったという。

 米国高官によると、中東各国による和平会議は、ユダヤおよびイスラムの祝祭期間が終わる10月中旬以降の再開が期待されているという。これを見据えてラモン無任所相は、「11月のサミット前に、(パレスチナ側との協議が)必要だ」としている。

 一方、ライス長官との共同記者会見でアッバス議長は、「最終合意に至るすべての交渉には、中東和平ロードマップで示された原則が含まれなければならない」と述べた。

 イスラエルとパレスチナ間の和平交渉は6年以上にわたり停止していた。しかし、イスラエルとの歩み寄りを主張するアッバス議長率いるファタハ(Fatah)系の部隊が、イスラム強硬派ハマスの部隊との衝突で敗れ、ガザ地区がハマスに制圧される事態となり、イスラエルとの和平交渉を再開させようという外交的機運が高まった。

 ハマスのガザ地区制圧を受け、米国およびイスラエルは、ヨルダン川西岸(West Bank)を支持基盤とするアッバス氏に対する支持を強化してきた。一方、西側がテロリスト組織をみなし援助を停止しているハマスについては、孤立化を図ってきた。(c)AFP