【7月30日 AFP】就任後初めて米国を訪問中のゴードン・ブラウン(Gordon Brown)英首相と、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領が30日、初の首脳会談を行う。

 ブラウン首相はブッシュ大統領に、スーダンのダルフール(Darfur)紛争解決へ向けた和平推進策への支持を求める。また、停滞している世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド、Doha Round)の再開を前に米英両国の足並みをそろえたい考えだ。

 一方で、イラク政策が今回の会談に影を投げかけるものとみられている。英国内では、対米追随だとして政府のイラク政策に対する批判が高まっている。そのため、この問題で支持を失ったブレア前首相と一線を画すため、ブラウン政権は米国のイラク政策から距離を置くとの見方がある。

 ブラウン首相はこうした見方を打ち消そうと躍起。前日、ワシントンD.C.郊外のアンドリュー米空軍基地へ到着する直前にも自身を「アトランティスト」と呼び、「米国の起業家精神や建国の理念を心から尊敬している」と語って、両国の「特別な関係」を再度強調した。

しかし、ブラウン首相が就任後の組閣で、英軍のイラク駐留に批判的な閣僚数人を任命したことから、米英両国間には外交面で微妙な空気が流れている。また、ブラウン首相が訪米前の声明で、湾岸地域における米英両国の関与について何も言及しなかったこともあり、ブラウン政権の「米国離れ」に対する憶測は払拭されていない。

マイケル・エラム(Michael Ellam)英首相付き報道官は29日、今回の首脳会談では、イラクでの合同軍事行動も中心議題に挙がっていることを強調。一方で、首相の外交顧問、サイモン・マクドナルド(Simon McDonald)氏が事前訪米し、駐留英軍約5500人のイラク南部からの撤退について打診したとの同日付の英紙の報道内容については否定した。エラム報道官は首相顧問の事前訪米について、「英政府の立場が変わっていない」ことを明確にするためだったと説明した。

ブラウン英首相は同日、米上下両院の共和・民主両党の幹部らとも会談する。その後ニューヨークへ移り、31日に潘基文(パン・キムン、Ban Ki-Moon)国連(UN)事務総長と会談後に、国連で演説する。(c)Phil Hazlewood