【7月24日 AFP】リビアで400人以上の子どもをエイズウイルス(HIV)に感染させたとして終身刑判決を受けたブルガリア人医療関係者ら6人の身柄送還に関し、リビア側が新たに提示した条件について、ブルガリアのイバイロ・カルフィン(Ivaylo Kalfin)外相は23日、「受け入れ難い」と語った。

 欧州連合(EU)の会合に出席するためブリュッセル(Brussels)滞在中のカルフィン外相は、ブルガリア国営ラジオとの電話インタビューで、リビア側の条件を「野心的すぎる。受け入れ不可能なものもある」と評し、「EUとの関係正常化への後押しとはならない」との認識を示した。また、「リビア当局が、状況の長期化は無意味であることを理解し、早急に送還するよう望む。EU側も迅速な送還を求める姿勢は変えていない」と述べた。

 匿名のリビア外交筋によると、リビア側の新たな要求は「リビアとEU間の外交関係の完全な正常化」、「チュニジア国境からエジプト国境までのリビア東西を横断しリビアとアフリカ各国を結ぶ高速道路や鉄道などのインフラ建設支援」、「遺跡の修復支援」、「ベンガジ(Benghazi)の病院の設備改善」など。

 ブルガリアが身柄送還を求めている6人は、ブルガリア人看護師5人とパレスチナ人医師1人で、当時勤務していたベンガジの病院で438人の子どもをHIVに感染させたとして2004年に死刑を言い渡された。

 EU側はリビア側の当初の要求である被害者の家族への補償と欧州の病院での治療を受け入れ、6人は前週、終身刑に減刑された。

 6人は、感染は自身らが同病院に勤務する以前に起こったもので、病院の劣悪な衛生環境が原因だとして、依然として無罪を主張している。

 この問題について、ブルガリアのゲオルギ・パルパノフ(Georgy Parvanov)大統領は23日、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)仏大統領と電話で会談したという。

 また、EUのベニタ・フェレロワルトナー(Benita Ferrero-Waldner)対外関係・欧州近隣国政策担当副委員長とセシリア・サルコジ(Cecilia Sarkozy)仏大統領夫人が同日、リビア政府との直接交渉のためトリポリ(Tripoli)入りした。(c)AFP