【7月10日 AFP】来日中のノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)受賞者で、グラミン銀行(Grameen Bank)総裁のムハマド・ユヌス(Muhammad Yunus)氏は10日、麻生太郎(Taro Aso)外相と会談し、貧困者の自立を促すためには直接資金の提供が重要だと訴えた。

 マイクロファイナンス規模の経済協力について協議するために来日したユヌス氏は、バングラデシュへの経済援助の大半が、政府機関に集中した「非常に制限された枠組み内」で行われていると指摘。「経済援助は一種の政府間取引のようなかたちになってしまっている。だが開発援助は政府間の枠組みを超えたはるかに大きな問題であり、政府と市民の間で行われるべきものだ」と語った。

「貧困者のための銀行家」の異名を持つ同氏は、グラミン銀行(Grameen Bank)を創設し、「マイクロクレジット」と呼ばれる新たな手法により、従来では融資資格を持たない貧困層への無担保小口融資を開始した。これにより数百万にのぼる人々の生活が改善されている。


 ユヌス氏によると、外国からの支援でも同様に貧困者を助けられる可能性がある。例えば、援助資金を使用して貧困者が自ら橋を建造すれば、その建設費用はすべて彼らの収入となる。そこからさらに事業展開して、収入を2本目の橋の建設に投資すれば、援助国との費用折半でこれを建設することも「概念としては可能だ」という。

 またユヌス氏は、「信用に値しないとして、世界人口の約3分の2にあたる貧困層への融資を断った」金融機関を非難。「貧困層は銀行にとって素晴らしい顧客だ。一般の銀行から融資を受けている富裕層よりも、素晴らしい顧客だと言ってもいい」と語った。

 バングラデシュにとって日本は世界第3の経済援助国。(c)AFP