【7月10日 AFP】安倍晋三(Shinzo Abe)首相は10日、野党議員からの公開質問状に対する回答の中で、米国に向けて発射され日本上空を通過するミサイルを打ち落とすことは、たとえ法的に可能であっても、技術的に不可能だと述べた。

 安倍首相は書面による回答中、「日本が現在導入しているミサイルシステムは、あくまでも自衛目的のものだ。他国に向かって発射されるミサイルの飛行高度は極めて高いため、迎撃は技術的に非常に難しい」と述べた。

 日本は第2次世界大戦後、米国により草案が作成された日本国憲法において戦争を放棄しており、防衛は日米安全保障体制の下、米国に大きく依存している。

 1998年に北朝鮮が発射したミサイルが本州上空を通過して太平洋に着弾して以来、日米両国は北朝鮮に対する防衛策をいっそう強化してきた。

 安倍首相は2006年9月の就任以降、憲法改正を政策の重要課題として掲げ、米国とより対等な関係を築こうとしてきた。また、憲法に違反することなく米国への弾道ミサイル迎撃を可能にするため、その法的基盤を検討する懇談会「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」を設置した。

 安倍内閣以前の政権は、日本国憲法の下では、自国の防衛はできても同盟国の防衛はできないと解釈してきた。

 前週公表された2007年版「防衛白書(日本の防衛)」は、北朝鮮はミサイルシステムを増強しており、日本を含む東アジア全域を射程圏内に収めているほか、オーストラリアの北端、アラスカの一部も目標にする可能性があるとしている。(c)AFP