【7月10日 AFP】米国主導で開戦された2003年のイラク戦争に英国が加わることに対し、当時のトニー・ブレア(Tony Blair)首相の側近全員が「深刻な疑念」を抱いていた。ブレア政権で報道担当補佐官を務めたアリスター・キャンベル(Alastair Campbell)氏が9日出版された回顧録「ザ・ブレア・イヤーズ(ブレア時代、The Blair Years)」の中で、このような事実を明らかにした。

 ガーディアン(The Guardina)やインディペンデント(The Independent)といった英各紙が掲載した回顧録の抜粋によると、2003年3月のイラク参戦に向けた政府動議の是非を問う下院審議前夜の閣議で、ブレア氏の側近、ジョン・リード(John Reid)氏とジョン・プレスコット(John Prescott)氏はいずれも「体調を崩している」ように見えたという。そして「(集まった側近)全員が、かなり深刻な疑念を抱いていたが、彼(ブレア氏)はそうではなかった。あるいは、疑念を抱いていたとしても、われわれに対してすら隠していた」という。

 またキャンベル氏はリード氏の「結束の本能を過小評価してはならない。フセイン政権に取って代わるイラク、そして中東諸国によりわれわれが評価されることを理解せねばならない」との発言を記している。

 この794ページにおよぶ回顧録は、完全な暴露本ではないものの、政権内部関係者が記したブレア政権に関する初の年代記となった。

 キャンベル氏は2003年、イラク戦争をめぐる政治的対立から報道担当補佐官を辞任。本人は、辞任はイラク戦争とは無関係で、辞任後もブレア氏と親しい仲だったと主張している。

 同回顧録では、ブレア氏の後任、ゴードン・ブラウン(Gordon Brown)首相とブレア氏の間でしばしば発生した対立の詳細について多くは語られていないものの、ブラウン首相は、回顧録を読むつもりはないとしている。(c)AFP