【6月27日 AFP】米下院外交委員会は26日、旧日本軍によるいわゆる従軍慰安婦問題で、「日本政府に責任を認め、公式謝罪を求める修正決議」を賛成39、反対2の賛成多数で可決した。決議は本会議に送られ7月中旬に採決となる運び。しかし、可決されても、法的拘束力はない。

 決議案を提出したマイク・ホンダ(Mike Honda)議員は、決議が可決されたことで「日本政府に対し、今までの『中途半端な反省の弁』ではなく『明確な謝罪』を求める圧力はさらに高まるだろう」と予測する。決議は「これまで声を上げることができなかった被害者らの声を代表するものだ」という。日系米国人のホンダ議員は、第二次大戦中、家族とともに日系人強制収容所に送られた経験を持つ。

 民主党のトム・ラントス(Tom Lantos)下院外交委員長は、「第二次大戦後のドイツは正しい判断をしてきたが、日本は歴史に対して積極的に『健忘症』を選択している」と日本政府の態度を批判。さらに「米国の同盟国として、世界で主導的役割を担う大国でありながら、日本は過去の歴史に誠実に向き合うことを避け、問題を複雑化させている」と語った。

 「従軍慰安婦問題」が過熱するきっかけとなったのは、3月に安倍晋三首相による「従軍慰安婦に強制性はなかった」との発言だった。その後、首相は1993年の当時の河野洋平官房長官談話における「お詫びと反省」を支持する姿勢を強調。4月の訪米時にも謝意を表明している。

 下院での決議採決の動きを受け、安倍首相は26日、「私の考えは、先に訪米した際に述べたとおりだ」との声明を発表。政府関係者らも、決議の行方に関わらず日本政府の立場に変更はないとしている。(c)AFP