【6月27日 AFP】米中央情報局(CIA)が、米マフィアのメンバーにキューバのフィデル・カストロ(Fidel Castro)国家評議会議長の毒殺を依頼していたことを明らかにした1973年作成の極秘文書が、26日に公表された。暗殺に対する成功報酬は15万ドル(約1840万円)であったとされる。

 文書によると、この「ギャング的行動が要求されるデリケートなミッション」に選ばれたのはJohnny Roselliで実行部隊にSam Gold(本名Salvatore Giancana)とSantos Trafficantの2人を調達した。2人とも米司法長官の「10人の最重要指名手配リスト」に含まれていたという。なおCIAは、Samはシカゴ(Chicago)マフィアのボスでアルカポネ(Al Capone)の後継者であるとしている。

 暗殺者は「米政府に気付かれないよう実行する」ことを要求された。さらに、銃火器は使用せず、「食べ物か飲み物に毒物を混入する」ことを推奨したとされる。

 さらに文書によれば、「キューバ政府の役人でカストロ議長と接触する機会があり、経済的にも困っていたJuan Ortaが新たにメンバーに加えられたが、毒薬を手渡されたOrtaは実行の際に怖気づき、自分を任務から外すよう訴えた」としている。

 結局、計画に携わった人物は誰1人としてCIAから報酬を受け取らず、毒薬もCIAに返却されたという。

 CIAは、1961年のピッグス湾(Bay of Pigs)事件を機に、カストロ議長の暗殺計画を断念した。(c)AFP