【6月25日 AFP】イスラエル政府は24日、パレスチナ自治区へ数億ドルの税収の送金を再開することを明らかにした。エジプトで開催予定の中東首脳会議を翌日に控えての発表だった。

 パレスチナ自治区では前週、イスラム原理主義組織ハマス(Hamas)系の閣僚が排除され、非常事態内閣が発足されており、ガザ地区(Gaza Strip)はハマス、ヨルダン川西岸(West Bank)はファタハ(Fatah)がそれぞれ実権を握っている。今回の送金再開は、ヨルダン川西岸のファタハの指導者らに向けたもので、パレスチナ自治政府のマフムード・アッバス(Mahmud Abbas)議長を後押しするイスラエル政府が提案する措置の最重要項目となる。

 一方、事実上首相を解任されたハマスのイスマイル・ハニヤ(Ismail Haniya)氏は、送金はパレスチナ人全てが対象とされるべきだと主張し、イスラエル政府による非常事態内閣への送金再開の決定を厳しく非難している。

 なお、イスラエル政府は、パレスチナ自治区との和平交渉の可能性については関心が低く、非常事態内閣が落ち着くまで時間がかかると見ている。エフド・オルメルト(Ehud Olmert)首相の報道官は、和平交渉の再開について議論する前に、同自治区の非常事態内閣の経過を見守りたいと述べた。

 過去15か月にわたり差し押さえられてきたパレスチナ自治政府の税収は6億ドル(約740億円)以上にものぼり、ハマス主導の同自治政府は政府職員らへの給料の支払いが滞るなど、深刻な財政危機に直面していた。(c)AFP/Steve Kirby