【6月18日 AFP】ロンドンに亡命中のベナジル・ブット(Benazir Bhutto)パキスタン元首相は、国外追放された旧政敵のナワズ・シャリフ(Nawaz Sharif)元首相との間で、民政復帰を目指し「ブット氏、シャリフ氏の順で首相に就任する」との「口約束」があったことを明らかにした。18日発行の英フィナンシャル・タイムズ(Financial Times)紙のインタビューで語った。

 ブット元首相は同紙に対し、民政復帰に向けて共同戦線を張るべく、「まずブット氏が首相に就任し5年の任期をつとめたあと、シャリフ氏が首相に就任する」とする構想をシャリフ氏が語り、同意したと語った。

 また、同元首相は「(ブット氏が所属していた)パキスタン人民党(Pakistan People’s Party)は、大統領に就任したペルベズ・ムシャラフ(Pervez Musharraf)陸軍参謀長(当時)との間で、陸軍参謀長の職を辞退する場合は大統領職を続けることを容認する旨の協議もした」とも述べている。

 一方、シャリフ元首相が総裁をつとめるパキスタン・イスラム教徒連盟(Pakistan Muslim League)の幹部は、こうした発言を否定している。

 ブット氏は、1988年の民政復帰選挙後にイスラム圏初の女性首相に就任。1998年に自身と夫の汚職が告発されてロンドンに亡命するまでの間、シャリフ氏との間で交互に首相をつとめた。ブット氏がパキスタンに帰国した場合、逮捕されると見られる。

 また、第3次シャリフ政権は、1999年にムシャラフ陸軍参謀長(当時)らのクーデターで崩壊。2000年12月に国外追放となった。ムシャラフ氏は2001年に自ら大統領に就任、以来ムシャラフ政権が続いている。

 なおムシャラフ大統領は前月、今年後半または来年初頭に予定されている総選挙の前にブット、シャリフ両氏がパキスタンに帰国することを禁止すると発言している。(c)AFP