【6月13日 AFP】通常兵器保有数を制限する欧州通常戦力(CFE)条約の加盟国による緊急会合が12日、ウィーンで始まった。この会合はロシアの要請により開催され、15日までの日程で行われる。

 今回の会合は、米ミサイル防衛(MD)の東欧配備計画をめぐり米露が対立する中での開催。ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は4月の年次教書演説のなかで、「CFEを尊重していない」としてNATO加盟国を批判、条約の履行凍結を宣言していた。

 ロシア側は前日の11日、会合を要請した理由について、CFEがNATOと旧ワルシャワ条約機構の加盟国に対して軍隊の配備を制限しており、「『不公平な』制限事項により、(ロシアは)自国軍を国内で自由に移動できないからだ」と説明。また、「自国軍の配備は、ロシア自身が決めることだ」と不満を表明していた。

 ダニエル・フリード(Daniel Fried)米国務次官補は会合後の記者会見で、「条約履行の凍結について、ロシアからの言及はなかった」と語った。また、「東西冷戦時代の概念に基づくCFEは時代遅れである」とのロシアの考えに賛同を示す一方、「CFE適合条約が発効すれば、ロシアが抱える様々な問題は一挙に解決されるだろう」と条約発効への期待を示した。

 会合に先立つ前週、米国を含むNATO加盟国は、CFE体制存続に向けた努力の一環として、モルドバからの分離独立を主張しているドニエストル(Transdniestr)地域へ平和維持軍派遣を認めるようロシアに要請したが、ロシア側は11日、これを拒否している。(c)AFP/Jean-Michel Stoullig