【6月12日 AFP】来日中のジヤード・アブアムル(Ziad Abu Amr)パレスチナ自治政府外相は12日、日本政府に対し、直接支援の再開を求めた。同外相は現在、パレスチナへの財政支援要請のため諸国歴訪を行っている。

 同日、日本の国会議員40人との会合に臨んだアブアムル外相は、「経済制裁を直ちに中断すべきだ」と主張。「このまま経済制裁が続けば、パレスチナの治安回復やイスラエルとの和平が実現されることはないだろう」と述べた上で、「(財政支援は)中東和平を推進するうえで最も効果的な手段だ。日本政府の支援継続と拡大をあらためて要請する」として、日本からの支援の重要性を強調した。

 イスラム原理主義組織ハマス(Hamas)が選挙で勝利して政権を獲得したことを受けて、パレスチナは2006年3月以来、欧米諸国から経済制裁を受けている。

 一方、日本は対パレスチナ制裁に関しては控えめな立場をとっており、「中立的な仲介役でありたい」として、中東和平推進に向けた主要支援国の1つとなっている。ハマス政権発足以来、日本は新たな対パレスチナ直接支援を認めていないが、国連(UN)および外部団体を通じた人道支援は継続している。

 対パレスチナ支援の再開を拒否しているノルウェーを除く欧州諸国は、制裁解除の条件として、暴力の放棄、イスラエル承認、過去の合意の順守を挙げている。

 アブアムル外相は、ハマスとファタハ(Fatah)による統一政府内で無所属の閣僚。12日夜に麻生太郎(Taro Aso)外相と会談する予定になっている。(c)AFP