【6月11日 AFP】10日の国民議会(下院)選挙の第1回投票で国民運動連合(Union pour un Mouvement PopulaireUMP)が圧倒的な勝利を収めた。これに対し、野党陣営はニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領への権力集中を警戒している。

 UMPは下院選で577議席中501議席を獲得する勢いだ。一方、野党陣営は最大野党の社会党(Parti SocialistePS)が、前回の149議席から半分以上を失うと見られている。社会党は先月の大統領選で公認候補セゴレーヌ・ロワイヤル(Segolene Royal)氏が敗北した。

 17日の決選投票でも勝利を収めれば、サルコジ大統領が大統領選で訴えた「断固たる改革」の推進が承認されることになる。こうした流れについて左派ら野党陣営は、サルコジ大統領は国内政治を全面的に支配しようとしているとし、「ハイパー大統領」「政界の肉食恐竜」と評している。

 欧州議会(European Parliament)議員も務める社会党のピエール・モスコヴィッチ(Pierre Moscovici)議員は今週、国営ラジオ・フランス(RFI)に出演した際、「フランス政界がUMP一色になるのは危険だ。サルコジ大統領への権力集中はフランス共和国史上で類がない」と語った。

 世論調査によるとサルコジ大統領は、シャルル・ドゴール(Charles de Gaulle)元大統領以来、最も人気の高い大統領となっている。だが、当のサルコジ大統領は自身の政界支配を懸念する声をフィガロ(Le Figaro)紙のインタビューで一蹴。
 「わたしの権力が強過ぎるという人は、フランソワ・ミッテラン(Francois Mitterrand)元大統領時代にミッテラン派が多数派となるよう働いた人々」と語った。

 一方、中道派フランス民主連合(Union pour la Democratie FrancaiseUDF)のフランソワ・バイル(Francois Bayrou)党首は、UMPが議会の圧倒的多数を占めることは「不均衡をもたらす」とし、「フランスはいつかこの偏りを後悔するだろう。1党が議席を独占し他党を締め出すのは不健全」と非難。同党の獲得議席は4議席にとどまる見通しだ。

 こうした見方に対し、英ロンドンを拠点とする欧州改革センター(Center for European Reform)のアナリストは、サルコジ大統領への権力集中が一線を越えないよう十分なチェック機能があり、均衡は取れているとしている。(c)AFP/Carole Landry