【6月11日 AFP】大統領選挙から1か月足らずのフランスで10日、国民議会(下院)選挙の第1回投票が行われている。野心的な改革を掲げて大統領に選ばれたニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)大統領が率いる国民運動連合(Union for a Popular MovementUMP)が優勢となっている。

 サルコジ大統領が率いる与党国民運動連合は、高い失業率、低い経済成長率、移民の割合が多い都市郊外地域における不満を受けて勝利した5月の大統領選挙の勢いを保っている。

 投票は10日朝8時に開始され、12時間後の午後8時に締め切られる。締切り直後に信頼できる選挙予測が発表されるのが通例だ。第2回投票は1週間後の17日に行われる。

 政府が発表した午前中の投票率は23%で、正午までに31%の有権者が投票した1か月前の大統領選挙を大きく下回っている。

 今回の選挙での勝利を確信しているサルコジ大統領は7月に臨時議会を招集し、罰則の強化、移民の制限、大学の自治権拡大などを含む多数の法案を成立させる方針を明らかにしている。

 フランソワ・フィヨン(Francois Fillon)首相が率いる内閣は7日、サルコジ大統領の改革の先駆けとなる、約110億ユーロ(約1兆8000億円)の景気回復のための基本計画の内容を明らかにした。

 世論調査によると国民運動連合は下院の過半数である289議席はもちろん、現有の359議席を大きく上回る430議席前後を獲得する見込みだ。

 一方の社会党(PS)は現有の149議席の維持はならず、最大で140議席程度を獲得するに留まる見込みだ。

 セゴレーヌ・ロワイヤル(Segolene Royal)氏の大統領選敗北の痛手を引きずる社会党は、今回の選挙で選ばれる下院議員の任期が切れる5年後まで野党でいることを強いられそうだ。社会党は今回の選挙で、国民運動連合が大勝した場合の権力集中の危険性を前面に出し選挙戦を戦っている。

 その多くがサルコジ大統領を支持する姿勢を明らかにしている中道政党の候補者は20~30議席を獲得すると見られる。

 パリ東部にある、党本部として使用している建物の売却も検討していると伝えられるほど資金面で困窮している共産党(PCF)の見通しは非常に悪い。(c)AFP