【6月9日 AFP】ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領の統治を専制政治と非難するロシア人男性の言葉がきっかけで、同大統領が8日、主要国(G8)首脳会議の場でロシア政治の正当性について長々と釈明するという事態が起きた。

 事件は同日、G8の開催されているハイリゲンダム(Heiligendamm)でプーチン大統領が記者会見を行なっている最中に発生した。

 20歳のロシア人男性Konstantin Schukmanさんがドイツ語で、「プーチンは自由の敵。新しいロシアを求める」と叫ぶや否や、「民主政治の面を付けた専制政治」と表紙に印刷された小冊子数十部をあたりに振りまいた。

 プーチン大統領は男性を捕まえようとする警護を制すると、西洋諸国の自由への批判を交えながらロシアの民主化について話し始めた。

 大統領は、2008年のロシア大統領選が迫りつつあることで、欧州人権裁判所(European Court of Human Rights)および国際人権団体などから、正当な批判をいくつか受けたとしながらも、「G8加盟国を含むロシアと協力関係にある国々にもロシア以上に批判を受けている国がある」と指摘した。

 さらに、報道の自由の抑圧と、テロリズムなどの容疑で身柄を拘束された人々の法的権利の剥奪は、西側社会が正していかねばならない問題の一部であると主張した。

 2000年に就任し、来年で退任する予定のプーチン大統領は、旧ソ連後に育ちつつあった報道の自由を破壊し、野党勢力を骨抜きにし、チェチェン(Chechnya)共和国で戦争犯罪を押し進めたと国際的に非難されている。

 ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領とトニー・ブレア(Tony Blair)英首相はそろって今週、ロシアに対する強い懸念を表明した。

 ブレア首相は8日行なわれたプーチン大統領との会談の席で、「今日ロシア国内で起きていることと、ロシアの外交政策について、人々が不安を抱き始めている」と表明した。

これに対してプーチン大統領は、12月に行なわれる総選挙と2008年3月に行なわれる大統領選は、「民主的手続きに基づき行われる」と反論、「国家が行なう政治について、誰もが反対意見を自由に述べる権利を持つが、抗議のための行動は法の枠内で行なわれる必要がある」と述べた。(c)AFP