【6月8日 AFP】ドイツ・ハイリゲンダム(Heiligendamm)で開催中の主要国首脳会議(G8)(ハイリゲンダム・サミット)に出席しているロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は7日、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領と会談し、米国が東欧で進めるミサイル防衛(MD)システム計画について、新施設を建設する代わりにロシアが使用しているアゼルバイジャンのレーダー施設を共同使用することを提案した。

 スティーブン・ハドリー(Stephen Hadley)米国家安全保障会議(NSC)事務局長によると、ブッシュ大統領は「面白い提案だ」と答え、専門家に検討を依頼したいと述べたという。

 米国は、ポーランドとチェコにミサイル防衛網を配備する計画を進めている。「北朝鮮やイランの攻撃に対する防衛のため」と説明しているが、プーチン大統領は、「ロシアへの攻撃を意図するものだ」として強硬に反対してきた。

 プーチン大統領は会談で、米計画に基づくミサイル防衛網の配備には5年を要し、既に長距離ミサイルの発射実験を行っているイランが「重大な脅威」になるころには手遅れになっていると主張。「アゼルバイジャンの基地は欧州全域をカバーし、ミサイルの残骸も欧州の陸地ではなく海に落下する」と、自身の提案の利点を強調した。

 また、アゼルバイジャンのイルハム・アリエフ(Ilham Aliyev)大統領も6日、同国のガバリン(Gabalin)基地を米ロが共同使用する案を了承したとも述べた。

 両首脳は、7月1日に米メーン(Maine)州で開催予定の米ロ首脳会談に向け、戦略対話の作業部会を設置することで合意した。(c)Laurent Lozano