【6月7日 AFP】成田空港で入国を拒否された中国の民主運動家、魏京生(Wei Jingsheng)氏が7日、持病の糖尿病の治療のため一時的入国が許可された。ビザの期限は2日間で、同氏は8日にも亡命生活を送る米国へ帰国する見通しとなった。魏氏の支援者が明らかにした。

 2日に成田空港に到着した魏氏は、当初、一時的な入国を認める寄港地上陸ビザを申請し、3日の天安門事件18周年の追悼集会に参加した後、5日に出国する予定だった。

 しかし、入国管理局は「集会参加を目的とした寄港地上陸ビザは発行できない」として、魏氏の入国を拒否。魏氏は、成田空港近郊のホテルに2日から缶詰状態となっていた。

 7日に病院での診察を理由として入国を許可されたことから、現在、魏氏は都内の支援者の元に身を寄せている。

 魏氏の来日を要請した支援者の話では、入国管理局は「人道的配慮」から一時的に入国ビザを発行したという。「魏氏の待機は、結局、1週間近くにおよんだ。その間に追悼集会は終わってしまった」

 中国共産党政権に批判的な記事を執筆したとして20年近くも服役生活を送った魏氏は、1997年からニューヨーク(New York)で亡命生活を送っている。国籍は中国のままだが、米国居住権を保有している。

 来日に先立つAFPとのインタビューで、魏氏は、日本での天安門追悼集会を通じて、中国の民主化へもっと留意を払うよう日本政府に呼びかけたいと語っていた。加えて、さもなければ、アジアでさらに多くの「虐殺」が起きるだろうと警告した。

 魏氏は、2006年末にも来日しているが、この時は問題なく入国を許可されている。(c)AFP