【6月5日 AFP】バスク地方(Basque)の分離独立を目指す非合法組織「バスク祖国と自由(ETA)」は5日、地元紙Berriaを通じ、2006年3月に宣言した「恒久的停戦」を終了する声明を発表した。

■停戦終了宣言を、首相が直ちに非難

 停戦終了の理由について声明文は、「(政府との)和平交渉プロセスを継続するための最低限の条件が満たされなかったため」としている。さらに声明文は、6日から「活動家らの全拠点を武装防衛する」ことも明らかにしている。

 ETAの声明に対しホセ・ルイス・ロドリゲス・サパテロ(Jose Luis Rodriguez Zapatero)首相は同日、「(ETAは)再び過ちを犯そうとしている」と非難するコメントを発表した。

■ETAは、昨年末にはすでにテロ攻撃を再開

 今回の声明発表以前の2006年12月30日、すでにETAは停戦合意を破り、マドリード(Madrid)にあるバラハス(Barajas)空港の駐車場で自動車爆弾を使ったテロを実行。このテロによりエクアドル人男性2人が死亡し、40年にわたる抗争の犠牲者は819人となった。

 この爆弾テロにより、サパテロ政権との間で始まったばかりの和平交渉が中断することとなった。さらにETAの政治部門バタスナ(Batasna)が5月、地方選への参戦を無効とされるに至り、両者間の緊張はますます高まっていた。

■ささやかれる次なるテロ攻撃の計画

 政府に近いパイス(El Pais)紙は4日、警察当局からの情報として、ETAが「近日中にも」テロを計画していると報じるとともに、10日に予定されているフアン・カルロス1世(Juan Carlos I)も出席の軍事式典に大規模な治安維持部隊が配備されることを明らかにした。

 パイス紙はETAのテロ計画について、「政府にさらなる揺さぶりを掛ける目的で、その力を誇示すべく、大規模ではあるが犠牲を回避するようなテロを実行するのではないか」としている。(c)AFP