【6月4日 AFP】日本はカニ寿司を引き続き食べることができる--ウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は、今週ドイツ(Germany)で開幕する主要国首脳会議(ハイリゲンダム・サミット、G8 Summit)を前に、主要国(G8)の記者団と会見し、カニ輸出の禁止は実施しないと約束した。ロシア農業省が生きたカニの輸出禁止を発表したことで、日本側は懸念を示していた。他方、同大統領は、北方領土問題では強硬姿勢を崩さなかった。

■海産物の密漁・密輸禁止、両国の信頼あるパートナーシップが不可欠

 インタファクス(Interfax)通信が伝えたところによると、「カニ寿司なしでどうしたらいいのか」との日本人記者の質問に対し、プーチン大統領は「カニの輸出はやめない。禁止したのは密漁・密輸だ。この点において、日本の協力が欠かせない」と回答した。

 同大統領はさらに「残念なことに、われわれは、そのような協力が得られていないと感じる。日本の港で荷下ろしされるカニなどの海産物の量が、ロシア側の税関書類に登録されている量を大幅に上回っているためだ」と述べた。

 他方、プーチン大統領は「ロシア側においても、船舶間での取引を禁じ、すべての取引が税関を通るように体制を整える必要がある」と語り、「これらの実施には、信頼あるパートナーシップが不可欠」と付け加えた。

 日本は、カニ輸入量のうち、60%をロシアに頼っている。

■北方領土めぐる「紛争は存在しない」

「(サミットで)安倍晋三首相に会えるのを楽しみにしている」と語るプーチン大統領は、サミットでの会談時に、同首相をロシアへ招待することを計画しているという。

 だが、同大統領は、北方領土問題では依然強硬姿勢を崩していない。同問題は、日ロ間の長期にわたる領土紛争の中核となっているが、プーチン大統領は「紛争は存在しないと考えている」との見解を示した。

 その上で、プーチン大統領は「だが、われわれは日本側の意思も理解している。両国間の過去の刺々しい関係を是正し、北方領土問題を解決する道筋を日本とともに模索したい」と語った。

 会見でプーチン大統領は、寿司が好物であることも明かし「でも私はカニよりマグロの方が好きだけどね」と述べた。(c)AFP