【6月1日 AFP】ソウルで開かれている南北閣僚級会談は1日、共同報道文を採択できずに決裂した。韓国統一省の広報官は「(共同報道文をめぐる交渉のために)北朝鮮側と再度接触することはない」としている。

■北朝鮮の非核化問題で大きな隔たりが

 2月の6か国協議の合意事項である「初期段階措置」の履行と引き換えにコメ支援を行うとする韓国の姿勢に北朝鮮側は激しく反発。「2つの問題はまったく関連していない」と主張し、韓国側にコメ支援の「約束を守る」よう求めていた。さらに北朝鮮は、南北間の問題に「外国勢力」つまり米国が干渉していると指摘した。

 聯合ニュース(Yonhap)が伝えたところによると、北朝鮮は、共同報道文に盛り込む内容の合意に向けた実務レベル会合を徹夜で開催することも拒否していたという。

 一方、韓国代表の李在禎(イ・ジェジョン、Lee Jae-Joung)統一相は前日、盧武鉉(ノ・ムヒョン、Roh Moo-hyun)大統領と非公式に話し合いを行い、席上、大統領がコメ支援の要求に対する対応について指針を与えたのではないかとの見方も出ている。

 ソウルのホテルで4日間にわたり開催された会談は1日に終了し、同日午後、北朝鮮の代表団が帰国することになっている。

■韓国側はさらなる経済協力も視野に入れて交渉に臨んだが

 南北関係は、2006年の北朝鮮のミサイル発射および核実験実施以降、冷え込んでいたが、今年2月の6か国協議で核問題に関する合意がなされてからは改善がみられていた。

 3月に行なわれた前回の閣僚級会談では、年間40万トンのコメ支援および肥料支援を再開することで基本的な合意に至っていたが、非核化への初期段階措置が履行されなかったため、初回のコメ支援の実施が遅れていた。

 国連(UN)は、北朝鮮では今年、必要量の20%に相当する100万トンの食糧が不足すると見ており、同国にとって韓国からのコメ支援は必須。

 韓国側は今回の会談で、5月17日に歴史的な試運転を成功させた南北横断鉄道の本格操業再開と、さらなる経済協力についての合意を探ることを目標にしていた。(c)AFP