【2007年5月26日 AFP】ここ数か月間激しい権力闘争を繰り広げていたビクトル・ユーシェンコ(Viktor Yushchenko)大統領とビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)首相は26日、政治危機を打開するための会談を開始した。会談が始まる直前には内務省が、大統領を支持する数千人規模の内務省国内軍が、内相の命令に背いて首都キエフ(Kiev)に向かって移動中だと発表した。

■会談直前、大統領を支持する数千人規模の軍がキエフへ

 ユーシェンコ大統領とヤヌコビッチ首相が、事態打開を目指して2回目の会談を予定していた1時間前には、「数千人規模の内務省部隊がキエフに向かって出発した」と内務省が発表した。

 しかし、内務省で軍を管轄する部局はこの報道を否定。取材に応じた士官は「われわれはそのような情報を持っていない」 と述べた。

■内務省内でも二派に支持が分裂

 内務省はユーシェンコ大統領と対立しているビクトル・ヤヌコビッチ(Viktor Yanukovych)首相を支持している。しかし、内務省内の数万人規模の部隊は、ユーシェンコ大統領支持派が指揮をしている。

 このほかに内務省所属には警察と特殊部隊があり、24日には、ユーシェンコ大統領に解任された検事総長を保護するため、特殊部隊の精鋭が介入した。この部隊は検事総長が拘束されていたキエフの事務所に出動し、大統領側の治安要員と小競り合いになった。

対立する政治家が治安部隊の支持獲得を争うことで、暴力的な事態への懸念が高まっている。

■不測の事態が懸念される中で、会談開始

 会談は、予定より2時間以上遅れて開始されたと、大統領のスポークスマンが記者団に発表した。2日前からユーシェンコ大統領とヤヌコビッチ首相は互いに相手を支持する治安部隊の切り崩しを図り、不測の事態が懸念されるほど権力闘争が激化していた。

 長期間続いてきたウクライナの政治危機は、先月、ヤヌコビッチ首相派が多数を占める議会をユーシェンコ大統領が議会の解散命令を出した新たな局面を迎えた。親ロシア派のヤヌコビッチ首相はこの命令を拒否、解散命令の合法性を憲法裁判所が審理していた。