【5月24日 AFP】国際原子力機関(International Atomic Energy AgencyIAEA)は23日、イランの核開発問題に関し、同国は国連(United NationsUN)からのウラン濃縮作業停止要求を無視し、作業を拡大していると報告した。これにより、同国に新たな制裁が科される可能性が出てきた。

 AFPはIAEAのムハンマド・エルバラダイ(Mohamed ElBaradei)事務局長による機密報告書のコピーを入手、その報告書では「イラン政府はウラン濃縮関連作業を中止していない」と報告された。国連は3月にイラン政府に対しウラン濃縮作業を停止するよう求めている。

 報告書によると、イラン政府はナタンツ(Natanz)のウラン濃縮施設の遠心分離機164基を連結した「カスケード」8基に、ウラン濃縮に必要な6フッ化ウラン(UF6)を注入しているとみられる。また6月末までに遠心分離機3000基を稼動し、目標としている産業規模の生産を達成する可能性があるとされた。ウラン濃縮により、民生目的の原子力発電所用燃料だけでなく、核爆弾の材料も生成可能となる。

 また、接触不足からくるIAEAの監視機能低下についても言及されており、「かつてイラン政府から情報が提供されていたが、それを1年以上受け取っておらず、同国の核関連作業に関する知識レベルは低下している」と報告された。(c)AFP