【ベルファスト/英国 9日 AFP】英領北アイルランド(Northern Ireland)で8日、長年にわたり敵対関係にあったプロテスタント系民主統一党(Democratic Unionist PartyDUP)とカトリック系シン・フェイン(Sinn Fein)党による自治政府が復活。平和に向け、北アイルランドが新たな一歩を踏み出した。

 自治政府首相には、筋金入りの強硬派でならしたプロテスタントの牧師、イアン・ペイズリー(Ian Paisley)DUP党首が就任した。副首相にはDUPの宿敵であるシン・フェイン党のマーティン・マクギネス(Martin McGuinness)議員が就任した。

 シン・フェイン党はカトリック系過激派組織、アイルランド共和軍(Irish Republican ArmyIRA)の政治組織。

 連立自治政府の発足について、ペイズリー首相は永続する平和に向けた「真のチャンスだ」と期待感を示した。

「北アイルランドに、平和の時が訪れた。この地に、もはや憎しみによる統治は存在しない。また、北アイルランドの平和回復のプロセスに参加できることをうれしく思う」

 両首相の就任式には、辞意表明が取りざたされているトニー・ブレア(Tony Blair)英首相も出席した。ブレア首相は、就任時から北アイルランド包括和平合意の仲介に奔走してきた。

 同首相は、「過去を振り返れば、北アイルランドの歴史は紛争、同じ民族間での憎悪などの苦難に彩られてきた。しかし、自治政府が発足し、北アイルランドは過去の憎しみの連鎖を解き放つ機会を手にした。今日からは、未来をみつめよう」と和平を呼びかけた。

 英国、アイルランド両政府は、自治政府の発足が、北アイルランドの紛争を終結させるとの大きな期待を抱いている。

 北アイルランドでは、英国から分離しアイルランドへの併合を求めるカトリック系住民と、英国による統治の存続を望むプロテスタント系住民の対立が1960年代末頃から激化、両者間への闘争へと発展した。30年以上におよんだ紛争で、3000人あまりが犠牲となっている。

 写真はベルファスト(Belfast)近郊の北アイルランド議会で8日、就任式に臨むペイズリー首相(左)とマクギネス副首相。(c)AFP/PAUL FAITH