【オレンジバーグ/米国 27日 AFP】2008年11月4日に行われる大統領選の民主党候補8人による討論会が26日、サウスカロライナ(South Carolina)州オレンジバーグ(Orangeburg)で行われ、テレビ放映された。08年の同大統領選に向けた討論会がテレビ放映されるのは今回が初めて。

■イラク政策批判で各候補一致

 各候補者らは様々な議論を交わしたが、ジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)大統領のイラク政策批判においては、一致団結の姿勢を示した。民主党は、多数の兵士と多額の資金をイラクにつぎ込み続けるブッシュ政権のイラク政策を一貫して批判。討論会の数時間前にも、同党が多数派を占める上院で、2008年3月末をイラク駐留米軍の撤退期限とする法案が通過したばかり。

 初のアフリカ系大統領への期待がかかるバラク・オバマ(Barack Obama)上院議員は、イラクの状況を「破滅的」と形容し、「共和党、民主党にかかわらず、国民はみな、戦争を終わらせる時期が来たと語っている」と呼びかけた。

  民主党のイラク撤退法案を支持する声も多いことから、民主党候補からは、イラク政策に劇的な変化をもたらすべく強気な発言が続く。 「イラク戦争は、米国の戦争ではない」とするヒラリー・クリントン(Hillary Clinton)上院議員は、「米国は最大限の努力をもってイラク民主化の下地を作った。後は、民主化のチャンスを受け入れるか否か、イラク自身が決めることだ」と語る。

  その一方でクリントン候補は、イラク戦争の開戦決議に賛成したことについては、「責任を持って票を投じた」と述べ、「過去の政治的判断の過ちについて、ここで説明するには時間が足りない」と、硬い表情を見せた。

 対照的に、クリントン候補の最大のライバルと目されるオバマ候補は落ち着きを見せていたが、イランの核問題に議題が移ると、「イランに対する激しい非難は同国侵略への素地作りか」「イランを核攻撃するつもりか」などと厳しい追及を受けた。これに対し、オバマ候補は「現時点では、誰に対しても核攻撃の予定はない。約束する」と応答し、討論会のなごやかな雰囲気を取り戻そうと努力した。

■クリントン候補が一歩リード

 ウォールストリート・ジャーナル(Wall Street Journal)紙とNBCテレビが行った調査によると、クリントン候補は36%の支持率を獲得し、31%のオバマ候補を依然としてリードしているものの、その差は1か月前の12ポイントから5ポイントへと縮まっている。一方、2004年の大統領選で副大統領候補だったジョン・エドワーズ(John Edwards)元上院議員は、20%とふるわなかった。

  討論会の目的はブッシュ政権批判だけではない。各候補にとっては、長期におよぶ選挙戦の資金や運動員を募る絶好の機会でもある。

 写真は同日、討論会に臨む(左から)エドワーズ元上院議員、ジョー・バイデン(Joe Biden)上院議員、オバマ上院議員、クリントン上院議員。(c)AFP/Stan HONDA