【ワシントンD.C./米国 11日 AFP】米国内の複数の環境団体は10日、国内最大の水産物流通業者に対し、鯨肉の販売を停止するよう食品販売会社に圧力をかけてほしいと要請した。この流通業者は鯨肉を販売する食品会社「極洋」とパートナーシップを結んでいる。

 極洋は、米国市場で冷凍寿司の新製品を発売すべく、True World Foods社とパートナーシップを結んでいる。この新製品は、早ければ今夏にも全米で発売が開始される。

 こうした動きを受け、環境監視団体のEnvironment Investigation Agency(EIA)、Humane Society International(HSI)、国際動物福祉基金(IFAW)は、この製品をなるべく店頭に置かないよう、全米各地の食料品店に要請した。

 EIAのAllan Thornton代表は、「極洋は鯨肉の缶詰を日本で年間数百万缶売上げており、日本の商業捕鯨の発展を牽引している」と前置きした上で、「極洋が鯨肉の販売をただちに停止し、鯨を保護する国際法を順守させるようTrue World Foods社に対して影響力の行使を働きかけた」と述べた。

 True World Foods社はこの件に関してコメントを出していない。

 1986年、国際捕鯨委員会(International Whaling Commission、IWC)は商業捕鯨モラトリアム(一時停止)を採択したが、「捕鯨は日本古来の文化」とする日本はその後も「調査捕鯨」を継続し、年間1000頭を捕獲して鯨肉を販売している。

 EIAは、10日付け報告書「Raw Deal」の中で、極洋は前年3月に商業捕鯨会社の株を処分したものの、鯨肉の主要な生産業者および流通業者として、商業捕鯨に深く関与し続けていると指摘している。

 HSIの海洋・野生動物保護担当のKitty Block氏は、「会社が世界から尊敬されたければ、世界で最も偉大な動物を残酷に殺したりはしない」と述べた。

 IFAWの捕鯨禁止キャンペーン担当のPatrick Ramage氏は、「極洋が販売する寿司を買った米国人は、日本の捕鯨を支持したことになる」と警告した。

 写真は新宿区歌舞伎町の寿司屋で、鯨の刺身を見せる店主(2006年1月19日撮影、資料写真)。(c)AFP/Toru YAMANAKA