【パリ/フランス 1日 AFP】大統領選挙の投票日を3週間後に控えた1日、フランス共産党(PCF)はパリのベルシー・スタジアム(Bercy)で選挙集会を開き、同党から出馬するマリジョルジュ・ビュフェ(Marie-George Buffet)議長(57)が演説した。集まった1万2000人の支持者らは、自由市場に歯止めをかけることを誓い気勢を上げた。

 だが世論調査では、ビュフェ議長の支持率は同党の過去の候補者と比べても最低で、選挙戦の見通しは今までになく厳しい。

 ビュフェ議長は、企業収益という「隠された財産」から数十億ドルを国家社会福祉に再配分する政策案を表明。「株主に権限を与えるのは、わたしの求める共和国のあり方ではない」と述べた。

 議長が「フランスにはまだ、戦いをあきらめていない左派の人々がいる」と宣言すると、真っ赤な旗を振り、革命家チェ・ゲバラ(Che Guevara)の横断幕を掲げた支持者らから、歓声が上がった。
 「わたしが愛するフランスは永久に、社会発展のために奮闘するのは時代遅れだという発想を受け入れない」

 しかし、労働者階級の多くは現在、極右政党「国民戦線(FN)」のジャンマリ・ルペン(Jean-Marie Le Pen)党首の支持に回っており、ビュフェ議長は苦戦を強いられている。

■左派候補乱立で共産党は苦しい立場に

 世論調査では、ビュフェ議長の予想得票率は、わずか2.0%で、2002年の大統領選でRobert Hue前PCF議長が獲得した3.37%を下回る。1981年に、ジョルジュ・マルシェ(George Marchais)議長(当時)が15%以上を獲得した時とは、天と地の差だ。

 ビュフェ議長にとってさらに不利なことに、彼女より若くエネルギッシュで雄弁な「革命的共産主義同盟(LCR)」のオリビエ・ブザンスノ(Olivier Besancenot)候補(32)が、左派有権者の支持を集めている。

 ブザンスノ候補の予想得票率は5%弱。同じく革命主義を掲げる「労働者の戦い(LO)」のアルレット・ラギエ(Arlette Laguiller)候補は2%未満、反グローバリゼーション活動家、 ジョゼ・ボベ(Jose Bove)候補は1%となっている。

 今回の大統領選挙は、フランス社会党(PS)のセゴレーヌ・ロワイヤル(Segolene Royal)氏を含め、左派候補7人が乱立し、1991年のソ連崩壊以来、左派政党が弱体化の一途をたどる欧州では異例の展開となっている。

 こうした中、ビュフェ議長にとっては、仏選挙法が選挙資金の全額返還の条件とする得票率5%を超えられるかどうかが、選挙戦の鍵となっている。

 写真は1日、パリのベルシー・スタジアムで、支持者らの声援に手を振って応えるビュフェ議長(中央)。(c)AFP/STEPHANE DE SAKUTIN