【香港 22日 AFP】マカオの銀行「バンコ・デルタ・アジア(Banco Delta Asia、BDA)」に凍結されていた北朝鮮口座の資金2500万ドル(約29億5000万円)について、中国銀行(Bank of China)は22日、同行への送金依頼がないことを明らかにした。

 香港で記者会見した李礼輝(Li Lihui)副董事長兼行長(副会長兼頭取)は「今のところ、われわれはこの件に関して依頼を受けていない」と語った。

 問題となっているのは、北朝鮮の資金洗浄や紙幣偽造疑惑に基づき、米国が金融制裁措置として2005年から凍結していたBDAの北朝鮮関連口座の解除資金。

 米国政府は北京での6か国協議再開に先立つ19日、同協議の進展を目指して凍結口座の解除を発表していた。

 ところが、北朝鮮代表の金桂冠(キム・ゲグァン、Kim Kye-Gwan)外務次官は22日、凍結資金が中国銀行の北朝鮮口座にいまだに送金されていないことを不服として協議を一方的に打ち切り、帰国の途についた。

 これについて、中国銀行の王兆文(Wang Zhaowen)広報担当は、「中国銀行は法令を順守する上場企業だ。違法ビジネスや資金洗浄と関わることは今後もありえない」と語る一方、「顧客の状況を最大限理解できるよう努力する」と述べた。

 マカオ当局も同日早朝、BDAの口座からの送金情報は得ていないと発表している。法律および技術上の問題により、凍結資金の送金が滞っているのではないかとする見方も出ている。

 事態を受け、中国外務省の劉建超(Liu Jianchao)報道局長は同日の定例記者会見で、北朝鮮資金送金の合法性について技術上の問題があるとする中国銀行の懸念にも妥当性があると、一定の理解を示した。

 写真は、香港で中国銀行の前を横切る女性(1月22日撮影)。(c)AFP/LAURENT FIEVET