【東京 28日 AFP】来日したミハイル・フラトコフ(Mikhail Fradkov)露首相は28日、日本経団連の幹部と都内で会談した。同首相は、ロシアは日本にとって「信頼できるパートナー」であり、「予見可能かつ安定した」エネルギー供給国を目指すと述べ、日本企業に対しさらなる投資を要請した。

 ロシア政府に対しては、サハリン沖の石油・天然ガス開発事業「サハリン2(Sakhalin-2)」の主導権をロシア国営ガス会社が握ったことや、天然ガスの供給価格の引き上げをめぐりロシアが旧ソ連諸国と対立したことなどで、「エネルギーを政治の道具に使っている」との批判が高まっている。

 日本の対ロシア貿易額は、両国の緊張関係が影響して、近年は低水準で推移している。

 同首相は、「ロシアは投資を軸にした経済の多角化を目指しており、日本との協力は極めて重要」との見解を述べた。

 「サハリン2」は当初、英-オランダ資本のロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)と三井物産三菱商事3社の合弁事業として開始されたが、前年12月の株式譲渡によりガスプロムが主導権を得た。日本は石油と天然ガスをほとんど輸入に頼っており、「サハリン2」の主要な供給先になると見られる。

 フラトコフ首相は、安倍晋三首相と日ロ首脳対談を行い、原子力発電用の濃縮ウランの製造をロシアへ委託する原子力協力協定を締結すると見られる。

 日本のエネルギー需要の30%は原子力発電によるが、安全性への懸念から、国内でのウラン濃縮はほとんど行われていない。そのため政府は、英国およびフランスに使用済み核燃料を供給して濃縮ウランの製造を委託する方法をとっている。

 写真は同日、経団連の御手洗冨士夫会長(キヤノン会長、右)および東京ガスの安西邦夫会長(左)と握手するフラトコフ首相。(c)AFP/Yoshikazu TSUNO