【7月30日 AFP】前週末開幕したばかりのロンドン五輪の一部会場で空席が目立っていることから、大会組織委員会が非難の矢面に立たされている。ロンドン組織委員会五輪(LOCOG)のセバスチャン・コー(Sebastian Coe)会長は29日、ほとんどの会場は観客でいっぱいだと述べ、釈明した。

 大会前に行われた五輪観戦券の抽せん販売は競争率が非常に高く、多くの市民が入手できない状態だった。にもかかわらず、テニスや水泳、体操などの種目の会場で空席が目立っている。

 記者会見したコー会長は「広い視点で考えるべきだ。観客は入っている」と主張。五輪開幕直後の空席は異例なことではなく、大会が進行するにつれて問題ではなくなるだろうとの見方を示した。

■「関係者席」か、違法転売の疑いも

 テニス競技会場となったロンドン南部ウィンブルドン(Wimbledon)のセンターコートでは、28日の英国人選手の出場試合でも座席は半分ほどしか埋まらず、29日もまとまって200座席ほどが空席のままだった。一方、2日目の競泳会場アクアティクス・センター(Aquatics Centre)でも空席があった。

 LOCOGでは、これらの空席は各国の五輪委やスポーツ連盟の関係者、選手、報道陣、スポンサーなどいわゆる「オリンピックファミリー」のための予約席だったと釈明している。あるLOCOG関係者はAFPの取材に対し、予約席が空席となっていることに対しLOCOG内では「苛立ちが募っている」と明かした。

 英紙サンデー・タイムズ(Sunday Times)は、英警察当局が五輪公式チケットの違法転売をめぐる捜査を開始したと伝えた。同紙によると、五輪関係者らが額面価格の最大10倍の値段で数千枚のチケットを売っていたという。

■「穴埋め」に兵士や生徒を招待

 一方、国際五輪委員会(International Olympic CommitteeIOC)のマーク・アダムス(Mark Adams)広報部長は、「スポンサーの大半は会場に来ている」と述べ、空席の原因がスポンサーにないことを強調している。

 LOCOGは、空席を埋める方策を急いでいる。29日午前の体操競技では、警備任務に携わる英軍兵士に座席が与えられた。また、他会場ではロンドン東部の学校の生徒たちや教員が招待された。(c)AFP/Guy Jackson