【5月18日 AFP】3月に就任したローマ・カトリック教会のフランシスコ(Francis)法王の故郷であるアルゼンチンの首都ブエノスアイレス(Buenos Aires)で、ゆかりの地をバスで巡る「法王ツアー」が11日から始まった。

 人口約4000万人のアルゼンチン国民の約75%が、自分はローマ・カトリック教会の信者だと認識している。しかしフランシスコ法王就任前は、他の多くの南米諸国と比べて教会に対する熱心さはかなり低いとみなされていた。
 
 しかし観光省が1週間に2度、計100人弱の参加者を見込んで運行を計画した無料の「法王ツアー」には、第1週目にして5000人を超える申し込みが殺到し、需要に応えるために同省では運行スケジュールを見直している。

 座席43席のバスは、フランシスコ法王が好きなタンゴの曲をかけながら、生誕の地ブエノスアイレスのフローレス(Flores)地区を揺れながら進み、法王の足跡を追って、前ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)から法王職を引き継ぐまでホルヘ・マリオ・ベルゴリオ(Jorge Mario Bergoglio)枢機卿としてミサを行っていたメトロポリタン大聖堂(Metropolitan Cathedral)へと向かう。所要時間は約3時間だ。

 この日、幸運にも法王ツアー第1陣に家族で参加した伝道師(カテキスタ)のマベル・ロッジェロ(Mabel Roggero)さん(43)は「わたしがカテキスタとして修養会に参加する際には、いつもベルゴリオ枢機卿がミサを行ってくださったので何度もお会いしています」とAFPの取材に答えた。

 ロッジェロさんは、新法王を選出した伊ローマ(Rome)での会議「コンクラーベ」の時と同じ黒いオーバーコートにくたびれた書類カバンをいつも持ち、市バスでやって来るつつましいベルゴリオ枢機卿の姿を懐かしがった。「彼には本当に特別なカリスマ性があり、多くの人、多くの家庭が顧みなくなっていた教会を人々に近づけることができるのです」

 ツアーガイドはフローレス地区の教会、バシリカ・サンホセ・デ・フローレス(Basilica San Jose de Flores)の外で「一番左の告解室がホルヘ・ベルゴリオ少年が啓示を受け、聖職への道へ導かれた場所です」と説明した。

 この他ツアーの見どころには、フランシスコ法王が育った家や、子供の頃にサッカーをして遊んだ広場、通った聖アントニオ学校(St Anthony School)、また両親が出会ったアルマグロ(Almagro)地区など21か所が含まれている。(c)AFP/Sonia Avalos