【3月1日 AFP】ローマ法王ベネディクト16世(Benedict XVI)が、2月28日退位した。存命中の法王が退位するのは700年以上ぶり。自らの余生を最後の巡礼にたとえ、これからは「1人の巡礼者になる」と述べ、涙を流しながら集まった信者たちに最後の別れの手を振った。

 世界12億人のカトリック教指導者として最後の日を迎えたベネディクト16世は、法王の記章をあしらったヘリコプターでバチカン市国を後にし、これから数週間居住するカステルガンドルフォ(Castel Gandolfo)の離宮に到着した。

 退位に伴い、ベネディクト16世の新しい正式呼称は「ローマ名誉法王」もしくは「名誉法王」となるが、呼びかけの際は引き続き「ベネディクト16世聖下」が用いられる。

 ベネディクト16世を除けば、存命中のローマ法王が自主的に退位したのは1294年、ケレスティヌス5世(Celestine V)のみ。バチカンの退廃と謀略を嫌悪し、わずか数か月で辞任したという。

 今後ベネディクト16世はバチカン市国内に居住することになっており、そうなれば現職と前任の法王がお互いの目と鼻の先に暮らすという、前例のない状況になる。(c)AFP/Dario Thuburn