【1月30日 AFP】フィリピン社会・国民に大きな影響力を持つフィリピン・カトリック司教協議会(Catholic Bishops Conference of the PhilippinesCBCP)は29日、年次総会終了後に声明を出し、今年の統一選挙では、人工避妊問題などに関する同教会の「道徳的教義」に反する政治家への反対運動を精力的に展開するとの方針を表明した。

 フィリピン国会は昨年、CBCPの猛反対を押し切って、コンドームや避妊薬の無料配布や学校での性教育実施などを盛り込んだ「人口抑制法」を成立させ、同法は今月から施行された。

 これを不服とするCBCPは今回の総会で、5月から始まる国政の上院(半数)と下院の中間選挙および統一地方選に焦点を当て、立候補者に同性同士の結婚、離婚、人工避妊、汚職に関する姿勢を公開の場で明らかにするよう求めることにした。

 CBCPのフランシス・ルーカス(Francis Lucas)広報担当は「候補者に姿勢、意見を表明してもらい、有権者に投票時の判断基準にしてもらう」と話し、CBCPの道徳教義に反する候補者への「踏み絵作戦」を展開する姿勢を示した。

 フィリピンは国民の80%以上がカトリック教徒で、カトリック教会はフェルディナンド・マルコス(Ferdinand Marcos)大統領(当時)の失脚をもたらした1986年政変など、政治の場でも大きな影響を及ぼしてきた。しかしCBCP議長のホセ・パルマ(Jose Palma)大司教は、「最近は教会の道徳教義に反する動きが目立ち、教会の役割や信仰を脅かし続けている」との危機感を表した。

 CBCPは今回の「踏み絵作戦」を通じて各候補者に対する教会の支持・非支持の姿勢を鮮明にし、特定の投票行動を強制することはないものの、信者の有権者に賢明な判断を下すよう求めるという。(c)AFP