「失われた支族の末裔」、インドからイスラエルに移住
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【12月25日 AFP】イスラエルの「失われた10支族」の1つの末裔(まつえい)とされるインド人部族の50人が、イスラエルに24日到着し、移住手続きを終えた。先にイスラエルに移住した親族を持つ彼らは、イスラエルへの大量移住を待つ7200人余りの「ブネイ・メナシェ(Bnei Menashe)」の人々の第1陣だ。
ブネイ・メナシェの人々は、自分たちは旧約聖書の時代にイスラエル王国にいた失われた10支族の1つだと信じている。聖書には、紀元前721年のアッシリア人による侵攻の後、これらの支族は国を追われ、広く散らばったと書かれている。
テルアビブ(Tel Aviv)のベングリオン(Ben Gurion)国際空港に到着したNachshon Gangteさん(47)は、12年ぶりとなる姉との再会を待ちながら、「祖国を追われてから数千年の後、私たちはついに故郷に帰還した」と語った。到着ロビーで数時間辛抱強く待った後、姉の姿が現われたとき、Gangteさんは涙を抑えることができなかった。「素晴らしい。神は偉大だ。聖なる地での家族との再会をゆるしてくださったのだ」。めいのZimraさんも「私の家族と故郷を見ることができて幸せ」と喜びを語った。
ブネイ・メナシェの人々の旅を手配した団体「シャベイ・イスラエル(Shavei Israel)」(ヘブライ語で「イスラエルに帰還する者」の意)のミハエル・フロイント(Michael Freund)氏によると、インドから移住するための援助をイスラエル政府に申請した人数は7000人以上に上る。
フロイント氏はAFPの取材に、「この部族の人々は、自分たちの故郷を決して忘れることがなかった。彼らの帰還を手伝うことができて嬉しく思う」と語り、今後数週間以内にはさらに数百人が到着する予定だと付け加えた。到着した人々は、陽気な雰囲気の中、空港で数十人の親族に歓迎されていた。
イスラエルに暮らすブネイ・メナシェの人々はすでに1700人以上に上る。その大半はインド在住中にユダヤ教の教えを実践していた。イスラエル政府は10月、2007年以来初めて、約275人のイスラエル移住を承認。ユダヤ教徒に改宗することになる新たな移住者は、イスラエル中部にある適応支援施設に3か月滞在した後、イスラエル北部に暮らす予定だ。
ブネイ・メナシェは、インド北東部のミャンマーとの国境近くにあるミゾラム(Mizoram)州とマニプール(Manipur)州に暮らす部族「Kuki-Chin-Mizo」の人々だ。彼らの口述伝承によると、ブネイ・メナシェは数世紀をかけてペルシャからアフガニスタン、チベット、中国へと追われてきた。その間、割礼などユダヤ教の特定の儀式についてはずっと守り続けてきた。
インドに着いた彼らは、19世紀の宣教師らにキリスト教に改宗され、聖書を読むようになった。聖書に自分たちの伝承と同じ逸話が記載されていることを知ったブネイ・メナシェの人々は、自分たちがユダヤ教に属していたことを確信するようになったという。(c)AFP