【8月2日 AFP】フランスの自治体が主催したサマーキャンプの指導員4人が、イスラム教のラマダン(断食月)の断食を行ったことを理由に解雇された。イスラム教団体は差別だとして激しく反発している。フランスでは前年、イスラム女性用の顔全体を覆うベールの着用禁止法が施行され、物議を醸したばかり。

 解雇された4人は首都パリ(Paris)郊外の町ジェヌビリエ(Genevilliers)が仏南西部で主催したスポーツキャンプ運営のため、臨時職員として雇われていた。ところが、ラマダン初日の7月20日、日中に食事や水分を取らないことで子どもたちを危険にさらしているとして、キャンプを訪れた査察官から解雇を告げられた。

 報酬は契約上の残り期間を含む全額が支払われたが、4人は不当解雇を労働裁判所に訴える構えだ。また仏ムスリム評議会(French Council for the Muslim ReligionCFCM)も、解雇は「信教の自由に対する攻撃」だと非難し、町当局を告発する意向を示している。

 だが、ジェヌビリエのジャック・ブルゴワン(Jacques Bourgoin)町長は解雇の判断を擁護している。町長室が発表した声明は、4人が「契約条件を遵守せず子どもたちの身の安全を危険にさらした」「栄養や水分が不足した状態では、キャンプの正常かつ安全な運営が損なわれ、子どもたちの身の安全が確保できない恐れがあった」と説明している。

 この考え方は、フランスの極右政党・国民戦線(FN)も強く支持している。町長の側近の1人によれば、3年前に断食中のキャンプ職員が運転中に体調を崩し、子ども1人が重傷を負う事故を起こしたことが解雇の背景にあるという。

 ジェヌビリエ町役場はその後、緊張がさらに高まることのないよう、町職員に昼食を取ることを義務付けた契約条項を8月中は除外する方針を示した。

 解雇された4人は、町が解雇理由に安全面の懸念を挙げている点について、反イスラム感情の隠れみのに過ぎないと批判している。(c)AFP/Pauline Froissart