【4月24日 AFP】世界中に信者を持つインドの霊的指導者、サティヤ・サイ・ババ(Satya Sai Baba)が現地時間24日午前7時40分、入院していたアンドラプラデシュ(Andhra Pradesh)州プッタパルティ(Puttaparthi)の病院で心肺不全のため亡くなった。85歳だった。入院先の病院が発表した。

 病院の発表によると25、26日の2日間、サイ・ババの遺体は最後の別れを告げる信者たちに公開される。死亡が発表されると、警察は悲しみにくれる大群衆を押しとどめ、平静を保つよう呼び掛けた。

 病院の周辺には数週間前からサイ・ババの回復を祈る大勢の人が集まっていた。何もないところから物質を取り出したり、死者を蘇らせたり、死期が近いとされた人の病気を治すなどの超自然的な力を持っているとされたサイ・ババを崇拝する人は世界150か国以上に数千万人いるとされ、その中にはインドのアタル・ビハリ・バジパイ(Atal Bihari Vajpayee)元首相をはじめ裁判官、軍幹部や政治家のほか、インドのクリケット選手サチン・テンドルカール(Sachin Tendulkar)氏、米ハリウッド女優のゴールディ・ホーン(Goldie Hawn)氏らの著名人も多い。

■各地で医療施設などを運営

 自分は1918年に死んだ聖人、シルディのサイ・ババ(Sai Baba of Shirdi)の生まれ変わりだと主張していたサイ・ババの団体は、インド国内の病院や診療所など健康や教育に関するプロジェクトに資金を出し、現在主流となっている医療を超える治療を提供できると話していた。

 サイ・ババの団体は医療の他にも、世界各地で飲料水の供給施設や、大学、博物館、プラネタリウム、礼拝室・礼拝センターなどの施設を運営している。

 プッタパルティのヒンズー寺院を振り出しに学校などの施設の一大帝国を築いたサイ・ババの影響力は世界中に広がった。サイ・ババを経済的に支援した1人で、レストランチェーンのハードロックカフェ(Hard Rock Cafe)を創業したアイザック・バートン・ティグリット(Isaac Burton Tigrett)氏はプッタパルティに移住し、自らの財産の大半をサイ・ババの基金に寄付した。

■「奇跡」には批判の声も

 常にサフラン色のローブを身にまとい、アフロヘアのような髪型がトレードマークだったサイ・ババは1993年、ナイフを持って自宅に侵入してきた4人の男に襲われたが難を逃れた。サイ・ババを守ろうとした信者の2人が刺されて死亡し、その後到着した警察官らが4人の侵入者を射殺した。4人はサイ・ババを暗殺するつもりだったとされている。

 サイ・ババの慈善活動やその教えは尊敬を集めた一方、サイ・ババが集会などで見せた金のコインや時計を取り出す「奇跡」には、批判する声も上がっていた。(c)AFP/Dibyangshu Sarkar

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