【2月26日 AFP】パレスチナ自治区・ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム原理主義組織ハマス(Hamas)が、男性美容師に対し、女性客が来る美容院で働くことを禁止する通達を出していたことが24日までに明らかになった。

 美容院を経営するMohammed al-BaltagiさんはAFPの取材に対し、女性向け美容院の営業停止に同意する宣誓書に署名するようにとの通達書を政府から受け取ったと語った。宣誓書には「従わなかった者は処罰され、2万シュケル(約45万円)の罰金が科される」と書かれていた。Baltagiさんは、他の4人の経営者仲間とともに宣誓書に署名した。

 別の経営者、Hatem al-Ghoulさんは、「ハマス警察に宣誓書に署名するよう命令され、しなければ牢屋へ入れるぞと脅された。男性が美容院で働くことを禁止する法律はないのに」と悔しそうに話した。

 2010年3月に始まった議論を受けたこの新たな規制について、AFPが取材したハマス幹部は、すでに施行されているかどうか回答しなかった。。

 ハマスが男女の距離が近すぎるとみなす仕事や、「不適切」と断じる物事を取り締まる試みは今回が初めてではない。

 昨年夏、ハマスは婦人服を売る店に対し、更衣室の設置や着色ガラスの使用を禁じる規制を施行した。この規則では、ショーウィンドウのマネキンにも控えめな服を着せるよう求めている。同時期、男女の接近を避ける施策の一環として、女性が公の場で水タバコを吸うことも禁止した。

2009年には女性弁護士に対し、法廷で髪の毛を隠すヒジャブを着用することを義務づけ、また女性がオートバイに乗ることを禁じる規則も制定した。

 ハマスは常に保守的な姿勢を示しているが、ガザ地区にイスラム法を導入することには否定的で、07年6月にガザ地区の実権を掌握して以来、「男女のつつましさ」を求めて実施してきた措置は限定的である。(c)AFP